「ダブルミーニング」空の青さを知る人よ TSさんの映画レビュー(感想・評価)
ダブルミーニング
地方の町に暮らし続けることは、息苦しくて、ずっと出たいと思っていた。
十代で都会へ出て、世の中が広いことを知った。
今、息苦しくて出たいと思っていた町で暮らしている。
この町の空は東京の空と違って、広く、青い。
自分の人生とシンクロする部分があった。
いや、シンクロする人は、日本中に沢山いるだろう。
この映画がターゲットとしているであろう若者だけではなくて、老若男女問わず。
「されど空の青さを知る」の普通の解釈は、「狭い世界でも何かを極めることができる」という意味。しんのとあおいが情熱を傾ける音楽(ギターとベース)という狭い世界でも、長い道のりだが極めることができる。あかねの選択も、狭い世界に否応なく閉じこもるというネガティブなものではなく、自らの選択だった・・・。
それに加えて、冒頭に書いた「狭いと思う田舎の空は見上げてみれば、とても広く、青く、どこまでも繋がっている」という意味も込められている。そう感じた。
主人公の名前が「あおい」なのもダブルミーニングなんだろう。彼女は青い。でも、物語の中で本当の青さの意味を知る。
吉沢亮、吉岡里帆、若山詩音の3人の声がとても爽やかで良かった。
あいみょんの歌はずるい。アニメらしいファンタジックな表現に爽やかなエモさを画の後ろから染みこませてくるような感じ。
クライマックスの場面は、空が澄む秋の秩父だったけど、夏に観るのもいいかな。
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