「個人的に合わなかった」空の青さを知る人よ さうすぽー。さんの映画レビュー(感想・評価)
個人的に合わなかった
岡田麿里(脚本)×田中将賀(作画監督)×長井龍雪(監督)からなる「超平和バスターズ」の最新作!
特に岡田麿里は、自分がここ数年で最も感動した映画「さよならの朝に約束の花をかざろう(以下、さよ朝)」を作って以来のアニメ映画なので、自然と観ようと思いました。
今回はバンドをテーマにした内容です。
自分は音楽好きですし、バンドがメインの映画は「シングストリート」等、好きな作品が多いです。
この映画は結構評判良いのですが、僕は正直好きになれませんでした。
うーん、あまり面白くなかったです。
ここからはいつものように、好きな所と嫌いなところを分けて書きます。
①好きだった点
この映画の内容は、主に主人公の姉妹愛と初恋の相手とのやり取りがメインでしたが、主人公の姉妹愛の描写は良かったです!
正直親がいない理由は少し強引な気もしますが、それがあってか姉妹とのやり取りは結構興味深いです。
妹のあおいは思春期で不器用な部分や素直になれない部分もありつつ、それでも姉のあかりが大好きな心情は映画の中で凄く伝わってしますし、吉岡里帆演じる姉も結構良かったです。
その二人のやり取りは感動出来ました。
また、しんの役の吉沢亮は今回が初声優だったそうですが、普通に上手かったです!
影のある感じと感情的な演技はまさしく声優ボイスでした。
また、あいみょんの曲もこの映画に合っていて良かったです。
曲の良さもこの映画を持ち上げた気がします。
以上が好きだった点です。
②嫌いだった点
まずはキャラクターです。
好きになれないキャラクターが非常に多いです。
主人公のあおいも、あまり好きになれませんでした。
常に本編における彼女の行動が右往左往していて、何がしたいのかたまに解らなくなりました。
一番嫌いだったのが、しんの。
高校生の時のしんのはまだ思春期っぽいので許せるのですが、大人になってからが本当に嫌いです。
いろいろと挫折を味わってるのは理解出来ますが、それにしても性格が悪いです。
バックバンドでリハーサルする時に主人公達に指摘したりするのですが、「注意」というよりは嫌味にしか感じないし、序盤のあかねとのやり取りはしんのをぶん殴りたくなりました。
「しんの」に関する問題点はまだありまして、
高校生のときと大人の時と同一人物に見えない事です。
高校生の時は人懐っこくて優しい感じなのに、大人の時は素っ気なくてただの嫌味なやつです。
こういう性格になった理由も一応描かれていますが、そこの描写が結構弱いので、しんのがただの嫌なやつにしか見えないです。
もう少し高校生の時の性格を少し残した方が個人的にはしんのに愛着が沸いたと思います。
あと嫌いだったのがストーリー展開です。
この映画では、「主人公の姉妹愛」と「初恋の相手とのやり取り」、「過去の自分と向き合う話」、あと「地元の音楽イベントに奔走する話」が描かれていますが、それが右往左往していてごっちゃごちゃでした。
これは「さよ朝」との比較になってしまいますが、聞いてください。
自分が「さよ朝」が大好きな理由は、いろいろな要素やキャラクターを盛り込みつつも、メインのテーマが「親子愛」に絞られていて、それが物凄く綺麗に纏められていたからです。
しかしこの映画は一応何を描きたいのかは理解出来ますが、何をメインに描きたいのかが解りづらいです。
どうせならテーマを一つに絞っても良かったのでは?
そして、人の好みによる所ではありますが、肝心な音楽描写も好きではありません。
バンド活動をやるはずなのに、演奏シーンが少ないです。
演奏したとしても、何故演奏する曲がゴダイゴの「ガンダーラ」をロックアレンジしたやつなのでしょうか?(笑)
別にハードロックに合ってる曲でもありませんし、そもそもガンダーラである必要性が感じられませんし、聴いてて正直凄く恥ずかしかったです。
あと、電気入れてない状態でのエレキギターで演奏してるのに音が完全にフォークギターだったりと、突っ込み所もかなり多いです。
結局この映画で描きたかったのは、
「過去の自分と向き合う」物語にしたかったんだと思うのですが、いかんせんそのテーマを絞り込めてなかった印象です。
感動できた部分はあったので、好きな人がいるのは理解出来ますが、個人的には好きになれませんでした。