「「空の青さを知る人」になりたい」空の青さを知る人よ おじゃるさんの映画レビュー(感想・評価)
「空の青さを知る人」になりたい
話題の劇場アニメだけあって、絵はとにかくきれいです。とくに実写かと見紛うほどの背景は本当にすばらしかったです。近々、埼玉に旅行に行く予定があるので、秩父にも立ち寄ってみたくなりました。これはまた聖地巡礼が盛り上がりそうな感じです。
あいみょんの歌も、作品の雰囲気がよく出ていてよかったです。普段は劇伴には意識が向かないことが多いのですが、本作ではあいみょんの歌声が心地よく響き、作品世界を豊かにしていると感じました。
設定は少々込み入っていますが、メインストーリーはシンプルで、あおいや慎之介の成長物語としてもラブストーリーとしても楽しめました。そして、その傍らに寄り添うあかねも魅力あふれるキャラとして描かれていました。
そして、なんといっても秀逸なのは「空の青さを知る人よ」というタイトル。鑑賞するまでその意味がわからず、考えもしなかったのですが、終わってみればここにすべてが詰まっていると感じました。「空の青さを知る」とは、まだ見ぬ大海に夢を馳せ、新世界に身を投じることも悪くはないが、身近なところにも大切なものやすばらしいものがあることを知る、という意味ではないかと思いました。こういう人間になりたいものです。
ただ、前半はやや間延びした印象があったり、キャラに感情移入しにくい部分があったりと、不満がないわけではありません。中でも、最も残念なのは、アニメ作品にありがちなキャスティング問題。残念ながら本作も例外ではありません。吉澤亮くん、若山詩音さんはなんとか及第点としても、吉岡里帆さんには荷が重かったように感じました。本作におけるあかねは、かなり重要な役どころなので、やはり本職に任せるべきだったでしょう。なぜ実力のある声優を起用しないのか、劇場アニメを鑑賞するたびに疑問に思います。これが大人の事情というやつなのでしょうか。