「テロ行為は…」ベル・カント とらわれのアリア ケイさんの映画レビュー(感想・評価)
テロ行為は…
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決して許されることではないが、その背景にある動機や、歴史を汲み取らなければならないと改めて痛感させられた。映画は南米ペルー大使館の占拠事件がベースとなっている。ニュース映像はフジモリ大統領そのまま使っていたし。テロリスト達と人質達が長時間共にするうちに心が通じ合い、ある者は恋に落ち、共にオペラを聞き、サッカーに興じるようになり、異様な空間の中で、不思議な関係が構築される。いつかは終わりが来るだろうと誰もが思っているが、終わりたくない、このままでいたいと思うほど、そこはある意味、楽園かのような描かれ方をしている。育ちや、言語は違えど、テロも人質も同じ人間、互いに敬意を払っているという風に。そういう意味ではテロリスト全員射殺の結末は悲しい。映画でも突発的事故とは言え、人質一人が銃殺されており、テロ行為=悪という認識は今後も変わらないが、なぜ同じ人間が、そのような行為に至ったか、映画では500年抑圧されてきたとあったが、少数民族の歴史的背景を重んじなければ、この様な悲しい負の連鎖が繰り返されるだろう。テロ側の視点に立った珍しい映画。ソプラノ歌手を演じたジュリアン・ムーアの口パクと、渡辺謙との不倫は若干残念。
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