「名うての演出と役者」柄本家のゴドー Raspberryさんの映画レビュー(感想・評価)
名うての演出と役者
柄本明の圧倒的な存在感、百面相、肉体表現の豊かさに惚れました。
「正解を探ろうとしているのが良くない」みたいな演出指導にグッときました。
命の根源や喜びよりも、いちいちクソつまらない「意味」とやらを見出そうとする現代人の癖に、ベケットは「何も起こらない」という形式で問い正す。
「正解」を探っているうちは本当の価値は伝わらないと言っているような柄本明の演出に、ベケットは微笑んでいるに違いない。
ないない尽くしが「ゴドーを待ちながら」である。『ゴドー』は我々を見放した『神』なのか『死』なのか『意味』なのか。そんなことはいくら議論してもわかるまい。
物語の中心に行けば行くほど空っぽなのだから。
だから『ゴドー』にはこういう名うての演出と味のある演技がどうしても必要なのだ。
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