劇場公開日 2019年6月7日

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「壮大な予告編?」The Crossing ザ・クロッシング Part I バラージさんの映画レビュー(感想・評価)

2.5 壮大な予告編?

2025年7月22日
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鑑賞方法:DVD/BD

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ジョン・ウー監督による二部作の大河ドラマ映画の前編。原題は『太平輪』で、国共内戦末期の1949年に上海から台湾に出港した中華民国の豪華客船「太平輪」の沈没事故という中国版タイタニックみたいな事件を題材としているらしい。中国・台湾・韓国・日本とアジアのスターを集めた2014年(後編は2015年)の大作だったが、中国本国で大コケにコケたためか日本にはなかなか来ず、2019年になってようやく公開された。

この前編ではなんと太平輪がほぼ出てこない。『赤壁(レッドクリフ)』二部作も前編では赤壁の戦いに至らなかったとはいえ、あっちは一応赤壁の戦いに物語が向かってたが、こっちは必ずしもやらなくていい話をずっとやってるような。第二次世界大戦(日中戦争)末期から国共内戦までが描かれる戦争映画といった趣きで、国民党将軍のホアン・シャオミンと富豪の娘のソン・ヘギョ(韓国女優だが中国人役)、国民党軍兵士のトン・ダーウェイと貧困女性のチャン・ツィイー、元日本軍医台湾人の金城武と日本に帰国した長澤まさみという3組の男女のラブストーリーなんだが、ラブロマンス描写の苦手なジョン・ウーだけあって古色蒼然とした陳腐なメロドラマでどうにもいまいち。

それが戦闘シーンになるとお得意のドンパチと男の友情で途端にイキイキし始めるんだが、あまりに派手すぎて戦争のリアリティにはやや欠ける気も。あと家屋のセットやCGを使ってると思われる自然の風景がやたらと作り物くさく見える。また従軍看護婦から街娼にまで身を落とすチャン・ツィイーが他の誰よりも美しいってのもどうかと思うが、彼女目当てで最後まで観れてしまったのも確かではある。最後は後編の予告編みたいな感じで終わるんで、壮大な予告編を見せられた感じだった。

バラージ