ある女流作家の罪と罰のレビュー・感想・評価

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5.0ふとした出来心で人生をこじらせる様が痛々しいです

2019年2月20日
iPhoneアプリから投稿
鑑賞方法:映画館

もはや人気も枯れ果てニューヨークにしがみつくようにしてギリギリの生活を送っていた伝記作家のリー・イスラエル。愛猫ジャージーが病気になり獣医に連れて行くも診察代が払えず、やむなく蔵書を古書店に売りに行くが二束三文にしかならない上に店主に凋落ぶりをバカにされる始末。ついに大事にしていたキャサリン・ヘップバーンからもらった手紙を売ってしまったリーはそこそこの値段で売れることに味をしめ、亡くなった著名人の手紙を捏造することに手を染めてしまう。トントン拍子で小銭を稼ぐようになったリーは友人のジャック・ホックを相方にして裏稼業にのめり込んでいくが・・・からの実話がベースのトラジコメディ。

こんな感じの栄枯盛衰は誰しも経験するものでそれでも何かしら折り合いをつけて生きていくのが普通の人だと思うわけですが、ちょっとしたきっかけで人生を拗らせて暴走する様は決して他人事ではなく正直笑うのを躊躇してしまい胸の奥がちくちくする切なさに満ちた作品。因果応報が招く結果を受け入れるリーが語る決意も沁みますが、こんなショボい悲劇には実は終わりがないことをシレッと示すラストシーンが物凄く印象的。

主演のメリッサ・マッカーシーは体を張った演技で笑いを取るストロングスタイルの女優さんですが、本作ではオーバーアクションを一切控えてどんどん身を持ち崩していくアラカン女性を等身大で演じていてオスカー主演女優賞ノミネートも納得の存在感。ニューヨーク舞台なので劇伴はジャズがメイン、中低音がグッと前に出たサウンドを堪能するためにもやっぱりスクリーンでの鑑賞がオススメですが劇場公開なしというのは残念過ぎます。

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よね