「オヤジファンタジー映画」焦燥 いぱねまさんの映画レビュー(感想・評価)
オヤジファンタジー映画
多分今後こんなジャンルの、毒にも薬にもならない生ぬるいストーリーが量産されるのではないだろうか。AVと何が違うかというと、ライティングとカメラの捉え方、そして効果としてのBGMだろう。でもこの温さが最近やけに和んでいるのも認めたくない心情である。
ストーリー展開は雜なのだが気にならないのは目的が違うからなのか、しかし結合部分のアップがある訳もないのに自分でも不思議なのだ。
題名は直接のテーマへの想起ではなく、きっかけというフックである。思うように事が運ばない女と、死期が近い事で心残りに苛む男。
古希辺りであろう男がかつて若い頃に愛していたそして目前でレイプされた女と面影が似ているヒロインは、母親に先立たれ、身に覚えのないトラブルに苛まれる幸薄い境遇である。しかし物心つく前に父親と離れたヒロインはファザコン故に二人は惹かれあう。しかしトラウマを克服出来ず悩んでいる男に、女は偶々浸入してきた賊を利用して、意気地がなく出来なかったレイプ阻止を叶えてあげる、とザックリだが中々アクロバティックな筋書(そのヒロインのインプロバイズは興味深かったが)である。一晩中男に抱かれたヒロインは海の岩場に佇む。その顔は何かを悟ったような妙な表情を浮かべる。それは愛する男の憑き物を落とした満足感なのか、それとも持病の心臓病の悪化なのか動かない男へのレクイエムなのか、『悪女=聖女』として生きて行こうと覚悟なのか、その結末は観客に委ねる構成で終わる。ヒロインのグラドルはアニメ声と巨乳&細身のプロポーション、そして顔はオアシズ大久保似の受け口というギャップでリアリティを感じさせる。演技は頑張っている雰囲気が出ているし、まぁいずれにせよトップレスを披露したことが出演条件なのだから今後の露出はどうなるか楽しみではある。
この作品のコンセプトは如何に男に共感出来て、アラサーのグラドルを手籠めにしたい、その妄想を掻き立てられるかの一点である。余りにもセクスプロイテーションに毒された自分も又資本主義の格好の餌食なのだと痛いほど自覚する作品ではある。