「何度もプレイしたDQVだからこそ」ドラゴンクエスト ユア・ストーリー 秋桜うさぎさんの映画レビュー(感想・評価)
何度もプレイしたDQVだからこそ
酷評レビューが多い、とにかく多い。
作品を観る前に見なくて良かったと思う。
何故こんなに賛否両論なのか。
自分は懐かしさも含め、良かったと思う側だったけど、ようは「視点」の違い、この一点につきた映画だったと思う。
つまり天秤の両端どちらかに1gでも重りがかかればすぐ傾く、そんな作品だった。
酷評者の意見でもあったが、確かに2時間弱の枠に収めたのはVの良い世界観を圧縮するだけの改悪でしか無かった。
素晴らしいゲームだからこそ、作品の部作分割してでも時間をかけて観たかった。
後は淡白すぎた点。
所々にすぎやまこういちならではの、DQ音楽がハマっていた所はプラスだし、経験者はグッと来る場面もあっただろうけど物語の展開に波が少なすぎて単調だった。
迫力並びに感涙の抑揚がもっとオーバーにあっても良かったんじゃないかな。
ビアンカとフローラとの結婚を自分は相当時間をかけて悩んだものだ。
何度もプレイはしたがその度に悩んだ思い出がある。あんな簡単に決めれる問題では無かった。
パパスが息子を守った場面もしかり、映画という作品を武器にもっと泣かせにかかっても良かったのではないだろうか?DQV未経験者にも深く胸に突き刺さるくらいのリアクションがあれば良かった。そうすればのめり込みやすかったはずだ。
さらに言えば、主人公が石化するシーン。
ゲームでは衝撃すら走った演出。
ゲームの主人公が石化するなんて!!!
唖然呆然とした気持ちが映画演出だとそんなに感じられなかった。
石化が溶けて子供との再会のシーンも淡々としたもので。。
後は主人公自身のキャラクター像。
自分はDQVの主人公に優しさと勇敢さを兼ね備えた完璧な主人公としてプレイしていた点。
これは固定概念の問題なので自分自身のイメージがこの映画の主人公とかけ離れていただけなので参考にはならないだろうが、もう少ししっかりした主人公であって欲しかった。
長々となったがやはり時間不足が全ての原因だと思う。
部作分けはせめて、最低でも二部作くらいはして欲しかった。
逆を言えば、よく単発ものであそこまで詰め込んだなと、そこは素直に評価。
最後に最大の焦点であるラストシーン。
突然180度展開が逆転する形を取ったことは最悪だった意見も理解出来る。
何故あのタイミングで現実世界とリンクさせ、ウイルスを元凶にしてしまったのか。
元も子もない崩壊作品にしてしまう理由がどこにあったのだろうか。
サブタイトルのyour story
理解は出来る、出来るが突然手のひらを返す演出は観るものの心に傷をつけるだけでしかない。
順当な流れなら、冒頭に大人になった自分がヴァーチャルマシンでDQVの世界を体験。懐かしさを噛みしめながら進めていくとラストでウイルスにかかった世界を救出。
自分の懐かしかった居場所(DQVの世界)を取り戻す。
これが順当。
監督や堀井雄二のもう一度あの経験をという思いでラストをあんな風にしたのならこれくらいの順当さは欲しかった。
だから「視点」の問題だった。順当にすればもっと高評価を得ても良かったと思う。
そうじゃないのであれば、ゲームと違うオリジナリティを入れても最後はラスボスとしっかり戦って勝って、最後の挿入にもゲーム映像を入れてエンディングで良かった。
大人になってもゲームで培えた感情や想いはいつまでも色褪せず、時には役に立つことだってある。そう伝える手段は、ただ素直で純粋なもので良かったんじゃないかなと評価を3.5としました。
長文失礼しました。