「ドラクエの世界観を陵辱する作品」ドラゴンクエスト ユア・ストーリー 蛯さんの映画レビュー(感想・評価)
ドラクエの世界観を陵辱する作品
文章力が全く無い者ですが長文失礼致します。
ドラクエファンの視点で話します。
尺の問題もありながら"最後"まではまあまあ良かった方かなと思います。キャラデザは凄く素敵でしたしCGがとっても綺麗で、バトルシーンも迫力があってとても盛り上がりました。良くない改変をされてしまったキャラもいましたが、、
◆まずはヘンリー、原作ではこのキャラクターは初対面時偉そうでひねくれているのですが、主人公と奴隷生活を送る上で大きく成長し、過去の行いを反省して思いやりを持ち主人公には友人としてフランクに接してくる様に変化する所が本当に良いキャラクターです。
ヘンリーの手紙は感動モノでした。
ですが映画の彼は同じく10年という長い奴隷生活を送ったのに関わらず、ほとんど成長していない。
ヘンリーは主人公の"友人"という立ち位置であるはずなのに、主人公には未だに敬語を使わせいちいちヘンリー様と呼ばせている。原作のような距離間が全くありませんでした。
その上2人で他愛もない話もしなければ友人同士に見えることも無かったですし最後以外は絆さえ感じることができませんでした。
あんな演出故ヘンリーは奴隷生活で長い時を過ごしても王族気分が抜けきれないただの呆れたキャラクターと化してしまいました。そんな彼が最後に助けに来てくれてもあまり感動がしづらかった。
原作の補正がなければ本当に冷めたシーンでしょうね。
ヘンリーは素晴らしいキャラクターなのに。ガッカリでした。
◆次に主人公の息子。尺の問題で仕方なかったでしょうが原作通り双子で出した方がガヤガヤ感がでて面白くなったのになと思いました。でもそれ以前に気になったことがあります。
ヘンリーが成長していないのに対し、息子は成長し過ぎている。
原作とは全く違う人格でした。8歳だというのに、無邪気さを少しも持っておらずあまり可愛げがありませんでした。
子供であるのなら持ち合わせたその無邪気さで父親と数年ぶりに再開した時おとうさんだ!!ずっとあいたかったんだよ!!!という感動的な演出ができたはずなのですが、そういうのも一切ありませんでしたね。
キャラクターをもっと活かして欲しかったのですが、、
加えて実の父に対し敬語を使っているところにも違和感を感じました。ドラクエはそういった親子の上下関係をあまり意識することは無いのでこれまた不似合いかと。
長い間会えなかったとはいえ実の息子に敬語を使われてしまえばとても息子との距離感を感じてしまうし自然と8年も放って置いてしまった息子に対して申し訳ない気持ちが募ってしまうものです。
こういったものは観客にも僅かにでも伝わって来ます。もう少し工夫が必要でしたね。この映画が描く主人公の息子は生を感じさせず無機質でした。
ですが
そんなことがどうでも良く見えてしまうほど
この映画をダメにしてしまったのが
最後の演出です
私達はドラクエの世界を楽しみに来ました。 ユアストーリーなんて言うので私達の物語が忠実に再現されているのだろうなとばかり思ってしまいました。
騙されました
監督によるマイストーリーでした。
この作品、先程も言った通り少々不満はあれど最後まではどこからどう見ても完全に王道を行くドラクエでした。問題は演出がこれ以上無いほど最悪だという事です。
この映画が伝えたいことは理解出来ました。まさかあんな展開を用いてくるとは。
VR、ウイルス、アンチウイルスプログラム、
あまりにもドラクエの世界には最高に不似合いなものが次々と登場し私は目を疑いスクリーンから目を逸らさずには居られませんでした。
仲間達はただの無機質なポリゴンと化し、電子の世界の中でコンピュータウイルスと最終決戦だなんて、どこにドラクエを感じることができますか?
"コンピュータウイルス"と対峙する"ドラクエの主人公"、どこが面白いのでしょうか?
ドラクエは王道のRPGです。ドラクエIのパッケージイラストの様に、ドラクエの世界には真っ直ぐ前を進み魔王を倒して世界を救うという王道の形式しか合わないのです。そんな世界観をボロボロに壊すようなメタ演出は呆れたという言葉では表しきれないほど酷いもので
ファンはドラクエが好きです。それもまた王道RPGの世界観を好んでいるからです。それなのにあの演出を斬新だと感心して受け入れるとでも思ったのでしょうか?バカにするのも大概にしてほしいものです。恥を知れ。
よく"原作通りに終わらなかったこと"を批判していると勘違いしている擁護派を多く見かけますが、
本当に怒っているのは
"ドラクエの世界観を下らないメタ展開でぶち壊しにしたこと"です。
原作と違うオチであってもドラクエの世界観に合致していればまだ受け入れることが出来ました。
そして監督もドラクエ5をベースにした作品を作る立場にありながら原作も一度もプレイしなかったのにも驚きでした。きっとドラクエの世界を理解する気が無かったのでしょうね。その程度の意気込み故案の定最悪の映画が出来てしまった。大変興醒めです。
物語がダイジェストすぎたというより、考えが薄っぺらく愛のない人達によって作られたためゲーム未プレイの人には楽しめず、プレイ済みの人にはドラクエに対する思いを見事に陵辱される、そんな映画でした。
監督、前から映画化は断っていたが閃いたからオファーを受けたなんて言っていましたが、今回の大失敗を受けて ほらこんな事になっただろう、2時間の間にドラクエのストーリーを詰めるなんて不可能だったんだ。俺は前々から断っていたんだ、俺が悪いわけじゃないなんて思ってそうで恐ろしいですね。
あんな覚悟と品格の足らない無神経な脚本が書けるのだから。
というふうに思ってしまうくらいには激怒しています。これ程ファンを軽視している映画は他に存在しないでしょう。
私は永遠にこの作品をドラクエの映画と認めることは無い