彼らは生きていたのレビュー・感想・評価
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文句なしの記録映画
この作品に文句どころか、観終わったらぐうのねもでない程打ちのめされた
戦争の始まりから終わったその後までを記録された映像と証言で
物語のように展開している
よく戦争の悲惨さなどが映画で描かれるがそう言った努力が霞んでしまう程
着色されたフィルムが与える印象の破壊力は底知れない
戦争中のトイレ、食事、生活、捕虜や上官との関係など
戦争中の軍隊の内情が事細かに語られる
淡々と当事者によって語られる事で浮かび上がってくる事実は凄まじく
こんな無益な事があるだろうか?
こんなことを繰り返してはいけない
と反戦の気持ちが昂った
この映画ほどリアルを描いてるのもないと思うので反戦映画としても有能だと思う
正確にいうとこの映画は映画とは言えない
娯楽的な映画とは住む世界が違う本物の記録フィルムだ
評価に困ったがこの映画程、戦争をスタイリッシュに描いた作品などとは
対極に位置する作品もないと思い
そんな日常化した戦争映画や暴力の映画を見慣れた人にも観て欲しい
と思ったので異例の(今までつけた事がない)星5つとしました
この映画が観れて本当に良かったです
そして2度と観たくないな
鑑賞するのではなく、戦争を経験するのだ、、、
はじめは白黒の普通のドキュメンタリーとして始まる、が。
話が進むうちスクリーンの彼らに色彩が灯りはじめると次第に生気が通いだし、映像も滑らかなものとなり彼らが歴史の中の人物ではなく、今、生きている若者達となり、 いつの間にか観客は彼らの中に入りこみ彼らと共に人を殺す為の兵器が進化した第一次世界大戦を"経験"するのだ。
その経験をどう考えるかはその人次第だが、スクリーンの中の彼らやその当時の世界の人々は答えを出す、、、
最後に一番恐ろしいと感じられるのは、人は忘れてしまう生き物だと言う事だ。何故ならばそうやって"経験"したことを忘れ、20年後、全く同じ事をやってのけるのだから。
すごかった
今でこそ『映像の世紀』などで当時の戦争の悲惨さをなんとなく知ることができているのだが、テレビを見たこともないような当時の人々がいきなりあんな地獄に叩き込まれるなんて悪夢以外の何物でもない。冒頭で、戦争体験を嬉し気に語っていたのがひどい。敵が機関銃を乱射してくるのにほぼ突っ立ったまま突進していくの、なんとかしろよ。匍匐前進したら後ろから上官に撃たれそうだ。撃たれて死ぬのも嫌だけど、凍傷で足が壊死するのが一番嫌だった。
There was a job had to be done. 戦争のリアル
正直第一次世界大戦はヨーロッパの戦争って感じがして、日本人からすると縁遠い感じがするので余り良く分かっていないのですが、本作は一般の兵士視点であの第一次世界大戦とは何だったのか教えてくれます。
意外とカラーになるまでも長いのですが、カラーになったらスゴい!100年近く前の映像なのにメチャメチャ綺麗。流石のピーター・ジャクソン、映像に対してのこだわりは半端ないです。おじいちゃんが第一次世界大戦参加?っと思ったらよく考えるとピージャクってもう60歳オーバーなんですね。
戦争に関してはイギリスって悪どいので余り良いイメージはないのですが、一般の兵士視点だと国を守ろうと思って命をかけてた事がわかります。良くわかんなくても国の危機って言われているのでやらねばって雰囲気が蔓延していたのでしょうね。特に当時って情報が伝わりにくい社会だったでしょうし。
昔の映像がカラーになると一気にリアルさを増してにます。ドキュメントですし、イギリスよりですし、面白いかっと言われるとそんな事はないのですが、やっぱり戦争は悲惨という事を改めて感じる事ができました。
戦争の実相は100年前も変わらない
第一次世界大戦時の記録映像を、デジタル化技術により修復・補正・カラーライズを行った上で、音声は帰還兵たちのインタビュー音声を修復して用いたという気の遠くなるような作業を費やしてのドキュメンタリー映画。
いわゆる現在進行形的なドキュメンタリー映画とは一線を画す、考古学的発掘の博物館的ドキュメンタリー映画で、その修復技術もさることながら全体の構成も見事。
大戦初期、若年層たちへ募集し、そしてまだ基準年齢にも達しない者たちも兵として採用した時期。
その後のブートキャンプ(新兵訓練)時期。
このふたつは、修復はされているがモノクロ映像のまま。
とにかく、若者たちの危機意識を煽るポスターなどの広報が凄まじい。
そして、その後、前線へ。
ここからがカラーライズされた映像になり、爆音轟くさま、塹壕のぬかるみ、累々とした屍・・・と、ほとんど目を背け通しになるか、瞠目しっぱなしになるかのどちらかの映像が続きます。
この生々しさは、CGでつくられた戦争映画では出てこない。
4時間哨戒行動についたら、その後、8時間だか休憩につくとか、4日前線を務めると1週間ばかり後方作業につくとか、そこいらあたりの態勢は初めて知りました。
もしかしたら、現在のブラック企業のほうが、もっと勤務時間は長いとも思われるが、こちらは生死の境での務めなのだから、これでも過酷。
過酷な前線を離れたときには、生を謳歌するといわんばかりの様子が微笑ましいが、これとても刹那の出来事。
この謳歌する生の部分を拡大して、後に戦争喜劇がつくられることになるわけですね。
そして、運よく生き残って戦地を離れ帰還した後、が再びモノクロ映像。
前線の過酷さをわかってくれるような銃後の人々は少なく、世間からスポイルされてしまうのが常だった・・・
ああ、こういう描写は、後の米国のベトナム戦争後遺症映画で頻繁に描かれていたものだ。
こうやってみると、戦争の実相は、第一次世界大戦の頃からほとんど変わっていないように感じる。
逆にいえば、戦争の実相は変わらない、ということに改めて気づかせてくれる映画でもある。
もし、見比べるとするならば、新作の『1917 命をかけた伝令』よりも、旧作『西部戦線異状なし』をお薦めしたい。
あちらはドイツ側から描いた映画だけれど、ほぼこの映画で示されたことが描き尽くされている。
人類史上最も戦死者が出た戦争
近所でやり始めたので鑑賞
感想は
ドキュメンタリーというか
映画というか中間的な部分をうまく捉えた
新しい作品だと思いました
100年前の大戦争の英国に保管されていた映像を
修正、加工し当時の資料からアフレコを追加し
きわめて映画風に仕上がっています
ちょうどワンカット(風でしたが)話題になった
「1917」と設定はほぼ同じで
1917のセットがいかによく再現していたかを
知ることも出来ました
1917はそこより撮影法にばかり注目が
行ってしまいましたが…
イギリス人もドイツ人も普通に交流していた1914年7月
突如宣戦布告された戦争によって英国の若者は戦地に
駆り出されていきます
若者達は祖国を守るとか名を挙げると行った
格好の良いイメージで集まった若者達は訓練の厳しさに
後悔しながらも戦地へ旅立っていきます
第一次世界大戦の特徴は塹壕戦で
互いに前線では塹壕を掘り進んで睨み合っており
そこを乗り越えるために戦車が開発されたり
毒ガスが使用されたりしました
そのため前線は地獄をきわめ
そこら中に死体が転がり衛生環境も最悪
唯一の楽しみの紅茶のお湯も場所がバレるので
沸かせない有様
そしてドイツ兵を殺せと勇んで戦うものの
元々交流していた間柄
いざ捕虜を前にしても敵とは思えず
打ち解けてしまったりする間にこの戦争の意味が
わからなくなってくるのでした
そして命からがら帰ってくると
国の世間の人や家族は戦争に全く関心無く
帰還兵に冷たく当たる有様
ここで「騎兵隊が突撃すると思ってる」と
戦争を経験していない人のイメージのギャップを
目の当たりにするのでした
結局この戦争を以て現代の戦争がいかに大量の
犠牲者を出したことに各国が恐怖し
国連を含め戦争準備を縮小する条約が
結ばれることになったのでした
でも何より恐ろしいのはこの2000万人が死んだ
戦争の20年後に再び戦ってしまった事です
戦争を体験していない、いやしないで済んでいる
世に生きる我々にはこうした形で当時を知れるのは
良い時代になったと思います
「泥にまみれた我々に、感謝の言葉はなかった」
日曜の映画館は満席で、補助席まで出ていた。
「白黒フィルムをカラー映像でよみがえらせた」がセールスポイントだが、実のところ、映像には期待しすぎない方がいいという印象だ。
カラー映像は、100年前の世界を鮮やかに我々の前に展開して見せ、「They Shall Not Grow Old」(英題)と思わせてくれる。
しかし、くすんだ色彩の軍服や地面や塹壕がメインで、“リアル”かというと少し違う気がするのだ。
3つのフェーズがあって、(a)英国内の映像は、そのまま白黒。
(b)前線での非戦闘時の兵士や戦死者の姿は、主に再現カラー映像。
そして、(c)撮影不可能な戦闘シーンは、絵やイラストである。
自分は、映像よりは、音声にひたすら神経を集中させていた。(声優を使っているのかと思ったら、本物の退役軍人のインタビューらしい。)
多数の兵士の証言が、“機関銃”のように矢継ぎ早に、すさまじい密度で語られるので、映像どころではないのである。
内容も充実しており、開戦時から、戦中、戦後へと推移するにつれて、兵士たちの心情も大きく変化するようすが克明に示される。
開戦時の高揚感や義務感、現実を知らないゆえの楽観。
そして、訓練のようす。「ドイツ人を殺せ」と、少年は年齢を偽って志願する。
ドーヴァー海峡を渡って戦地に赴く頃には、すでに高揚感は去り、厳しい現実がある。
迷路のような塹壕。泥に沈んで命を落とす兵士もいる。砲弾は頭上1メートルを通過し、死体は日常となり、明日は自分と思う。
退屈なので何にでも参加し、後方にいる時は売春宿に通う。
そして突撃命令。バタバタと左右の兵士が倒れる。“前進”すること以外は何も考えられず、鉄条網を突破してドイツの陣地に襲いかかる・・・。
そして終戦。
戦争とは「全くもって無駄」だと悟る。勝敗はどうでもよく、復讐心など持てずにドイツ兵に同情する。
待ちかまえる“失業”という現実。「見捨てられた」感覚。
兵器の進化で、きわめて残虐になり果てた戦争の現実が、一般市民に分かってもらえないギャップ。
帰還兵への風当たりは強く、「泥にまみれた我々に、感謝の言葉はなかった」。
本作品では、マップを使用したり、どこの戦線の話かなどといった、具体的、客観的な話は、一切述べられない。
その代わり、ひたすら兵士にフォーカスする。映像によってその“姿”に。証言によってその“心情”に。
多数の人間の姿と心情を合成して、超個人的な主観に到達しようとするかのようだ。
作り手の“執念”のようなものを感じる、圧倒的な作品であった。
ピーター・ジャクソンは、「LOTR」や「ホビット」のようなク○映画を作る監督だと、自分は思っているのだが、本作には脱帽である。
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