「人類のアーカイブ。迷っておられるなら、騙されたと思って是非!」彼らは生きていた ペットはマメルリハさんの映画レビュー(感想・評価)
人類のアーカイブ。迷っておられるなら、騙されたと思って是非!
正直、「白黒をカラーにしてそんなに凄い?」と、舐めてました。申し訳ありません。土下座ものです。
最初、イギリス兵が徴兵され、前線に送られるまでがモノクロ映像かつ昔のテレビ画面比(4:3ですかね?)。ここまでは、正直若干だるく、あれ?あの、ポスターの、カラー映像は、いつ出てくるの?と、フツーのドキュメンタリー観てる気分でした。
前線に着いてから、一気にカラー映像かつワイド画面比に(恐らく16:9)!! これは、思っていた以上に、ビックリしました!急に臨場感が増す、と言うか、名もなき兵士さん一人ひとり、表情、歯の手入れ具合まで、イキイキ蘇って、そんな体験は勿論初めてで驚きました。単に色付けただけじゃ無くて、最先端技術でバリバリ加工されているのでしょうね、見易く、没入感が全然違います。
ちゃんと調べて無くてすみませんが、多分音も最新技術で加工されているのでしょうね、いい意味で綺麗に手を加えてある様で、兵士の証言も聞き易く、証言自体も吟味され映像とマッチしテンポ良く次々と進むので、カラーに変わってからは、画面の世界の彼らと一緒に居るかの如く、最後まで退屈することなく観終わりました。
途中からはバンバン死体や戦争で受けた傷痕も映ります。覚悟が要りますが、着色してもそんなにグロテスクさは強調されていない印象を持ちました。(個人的印象です、職業柄グロ耐性大です。だからと言って決して好きではありません。)というか、使う映像や着色の仕方によってはいくらでも残酷さを強調したり、グロテスクにも作れると思うのですが、だいぶマイルドに、抑えめに作成された様に思いました。多分、監督にとって、映像を残酷にしすぎてセンセーショナルに話題にされる事が主眼ではないですしね。そこを省略しすぎると残酷さが伝わらないだろうし、グロテスクにしすぎると一般のいろんな人が見辛いものになってしまって難しいですが、その辺りは、本物の兵士の証言を使っている所で、十分戦争の残酷さが伝わってきた、妙な表現ですが、絶妙なバランスかもしれません。
同情や感情移入では泣かないでおこう、良い大人なんだし、と思っていたのに、イギリス兵が、捕まえたドイツ捕虜と話してみたら、案外心通わせられたりするエピソードとか、兵士さんの笑顔とオーバーラップして、仲間がどんどん倒れて亡くなって、亡くなった仲間の遺体を踏み越えて進軍したエピソードが語られて、ただ戦争って、どっちにとっても只々虚しいだけだとヒシヒシと感じて結局泣いてしまいました。
最後、ジャクソン監督の「祖父に捧げる」クレジットで、また泣きました。