グレース・オブ・ゴッド 告発の時のレビュー・感想・評価
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二つの闘い
長年小児性愛者である事を隠されていた神父を
告発して裁判になっている事実を映画化している。
人類愛を説き、信者からは崇められている神父が、愛はアイでも幼きモノへの性愛だとは、ホントにぶったまげてしまうが、怖いのは、その事実を、知っていた上層部の者達の隠匿、訴えた子どもの声をきちんと聞かなかった大人それも家族であったことの驚きと怖さである。
見たく無いもの、聞きたくないものに真摯に向き合わず我慢を強いらせ、無かった事にしてしまおうとする体制や同調圧力、人々の沈黙の怖さ。
皆、敬虔なカトリック信者で、正直であれ、清く正しく生きよとの教えを学んでいても、権威や理不尽な事へ異を唱える事の難しさ、勇気を出す事の難しさ。
カトリックでなくても
己の心のあり方が問われている様に思えた。さすがオゾン監督👍
一つのジャンルだね。
こういうの、もう一つのジャンルだね。
宗教観とかボーイスカウトの感じがよくわからんのでいまいち感情移入はできず。
完全に主人公が変わって、変わって、それぞれの今にリアリティが感じられてよかった。
犯罪として。
小児性愛者の神父が犯罪を犯しているにもかかわらず放置されていたキリスト協会ってなに。こういう話を聞くと神うんぬんよりやっぱり人間なんだなー、と思う。訴訟する相手は同じでも訴訟する集団はいろいろなひとの集合体。意見も当然バラバラで意思疏通は簡単な事ではないと痛感。
オゾン作品
オゾンには珍しく?真面目な固い映画です。小さいころに受けた性的虐待が30年を経た時点でも、深く心の傷を受け続けている事や、そのことで、その後の人生そのものに苦しんでる事に本人にしかわからない苦悩をあぶり出しています。その加害者が聖職者というのも一層の傷をえぐっている一因かもしれないとも感じました。とくに信仰心の厚い人なら尚更であろう。そのあたりの演出は、さすがオゾン監督だけあって手堅いものとなってます。
なお余談だが実在の神父は今年3月に禁錮5年の有罪判決をうけたが、その公判中に「自分も少年時代に聖職者から性的虐待を受けた」と告白して法廷を騒然とさせたそうな。
フランス映画の佳作🌟
重いテーマのため、今まで迷っていましたが、「僕を葬る」でのオゾン監督とメルヴィル・プポーのファンなので観に行きました。
結果、やはり観て良かったです。
近年はヨーロッパ映画を観る機会が少なくなり、ハリウッド映画の「いかにも作りあげたゴージャス感」に慣れていた自分には、フランス映画特有のウェットな感覚・・・被害者たちが現在住む家、濃密な家族の在り方など・・・の描き方がとても心に染み入りました。
被害者の1人ひとりに丁寧に光を当てて描いていて、実はその妻のほうも性的被害を受けていた過去があったり、今まで息子の苦しみに気が付かないふりをしていた母親が、時を経て一所懸命に力になろうとしているところにもグッときました。
個人的に、リヨンを観光した時のフェルヴィエール教会などの景色も懐かしかったのですが、アレクサンドルが家族で祝うクリスマスのシーンは本当に美しくて・・・
息子達がカトリックの学校に通っていたり、日々の生活と宗教が切っても切れない環境にあって、それでも告発せずにはいられなかった苦しみがいかに深いものかを考えさせられずにはいられない映画でした。
静かな作品を見たい時にオススメします。
赦しより勇気
実話ということで、いつものオゾン風味は、やや抑え気味な気はしましたが、
とても丁寧に、実在の被害者たち、その家族や関係者に敬意をもって創られた作品だと思いました。
また、3人の被害者が順に描かれていき、同じ場所に集うまでが自然で、
面白いストーリ展開で、その辺りも、さすがのオゾン、
抑え気味ではあるけれど、やはり、彼が創る映像美や脚本や演出は素晴らしく、
さらに、今回、非常に音楽の効果が印象に残りました。
この事件のことは、この作品から知ったので良く解らないのですが、
信仰って難しい...。
アレクサンドルとプレナ神父とレジーナの面談の最後に手を繋いで赦しをこうシーンも、
違和感しか感じなかったし、
エマニュエルと面談して去るときの神父の笑顔にもゾッとしました。
「赦し」って何?
神の代わりを人間が出来るわけないのに、信仰により神格化みたいになっている気がして、
ただ、それも宗派によりそれぞれだろうし、そこまで詳しくないし...。
ただ、神父の行為は犯罪だし、隠した人たちも同罪だし、きちんと罰して、
被害者たちの心が少しでも平穏を得られることを祈るしかない...神を信じて...。
フランソワ・オゾンの新境地は、やはりさすがだった。
男性ゆえの苦しみ
尊敬している神父による性虐待。
ある被害者は神父に選ばれた優越感?を語る。
被害者は傷を受けながら多様に生きる。
連帯する事の力は大きい。被害者もその家族も少しづつ変わっていく。
加害者も苦しんでいる。
組織も苦しんでいる。その苦しみに向かい合う事からしか、希望がある。
長いけれど、色々な人物を深く描いていてじっくりと観れた。
騒ぎ立てない
主人公が途中で入れ替わるような感じが、少し見づらい部分もあったけれど 事件をスキャンダラスに騒ぐのではなく、それぞれの被害者たちに寄り添っていくような映画だった。
色々な被害者たちがいる。被害者たち同士でも、考え方全然違う。それでもお互いの意見を否定せずに、尊重し合う。
フランス人の そういう人との接し方が すごく印象に残った。
フランス映画なのに、邦画タイトルはなぜ英語?
信教と棄教
中学と大学の7年間をミッションスクールで過ごした自分でも理解しがたい「世界」だ。
「無宗教」である日本人には、ほとんど共感できない内容かもしれない。
児童への性的虐待を重ねてきた神父への謝罪を求める主人公のアレクサンドルは、神父と監督者である枢軸卿を糾弾するも、事件を隠蔽してきた教会や信教そのものを否定することに躊躇する彼の姿を丁寧に描いている。
フランスの敬虔な信者にとって、カソリックは生きる世界そのものなのであろう。信教を否定することは、生きることそのものを否定しかねない。(神の存在を信じない国民と)どちらが正しいか否かの問題ではなく、みえている「世界」が全く違うだけなのだろう。
重いテーマをドラマチックに展開するのではなく、淡々と確りと進めていく、フランスらしい良作。
数こそ力
実際にあった神父による児童への性的虐待と、それを知りつつも動かなかった枢機卿に立ち向かった被害者の会の話。
現在も子供たちに教えを説いていることを知り、時効にはなっているものの、自身がこどもの頃に受けた虐待を教会に訴える男。
そして呆気ない程簡単に認める神父と、のらりくらりの枢機卿。
何年か前に神父と枢機卿が訴えられた事実のみは、知っていたけれど、そこに至る背景や、被害者の葛藤と告白が描かれており、自身の恥部と考えたり、相手が教会ということを考えたりして、なかなか他の被害者が声を上げない中、時効前の被害者が立ち上がり、話が広がっていく様子には引き込まれた。
けれど長い。
俺も俺もだったり、能書だったり、同じことを繰り返しみせられて正直途中で飽きてしまい、早く終われと。
エマニュエルの件辺りからほぼいらない。
90~100分ぐらいでまとめてくれたら良かったのに。
まだ、裁判が終わっていないのは知らなかった。
最近の話で驚いた
割とよくある題材だと思いきや、被害者は20年経っても傷は癒されず問題は思いの外深い。この映画はいろんな事を提起している。被害者の心の安息、新しい被害者の抑止、神父の贖罪、時効の必要性、巨大な組織の浄化が可能か。しかも最近判決が出た実話に基づいている。
昔はリテラシーも低く、親に相談してもラチがあかず更に孤立してしまう人もいた。とても罪深い事だ。
話は主人公が入れ替わり進んでいく不思議な構成になっている。事実であればしかたないのだが後半のアレクサンドルの熱意の低下におけるモブ化が?という感じ。プレナの罪の認めることの潔さの意味もちょっと理解できなかった。教会に対して開き直りの態度だったのか?こうなっても枢機卿は処分できないと分かっての態度なのか。不快以外ない。
最後の主人公エマニュエルの役者の演技が素晴らしく彼のその後がとても気になった。
オゾンは、見る者を不安にさせる暴力性をもつ。それぞれの家族関係の描...
オゾンは、見る者を不安にさせる暴力性をもつ。それぞれの家族関係の描き方もよかった。本当にそうなんだろうけど、会のメンバーは少しそう状態で興味深かった。
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