劇場公開日 2019年5月10日

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「記憶をなくすこと」僕に、会いたかった ワンコさんの映画レビュー(感想・評価)

3.0記憶をなくすこと

2019年5月15日
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辛く悲しい記憶は、それが大きければ大きいほど、忘れるというより、どこかに封じ込めたくなるのかもしれない。
徹は、自ら記憶を封じ込めたのだろうか。
しかし、記憶は自分の今を形作る重要なパーツでもあるはずだ。
もし、自ら、その記憶を封じ込めたのだとしても、その欠如は自らを苦しめることになるに違いない。
大切な人を失ったことで記憶を封じ込めた代償が、自身を罰することなのだろうか。

物語の着想は良いと思うのだが、また、大変申し訳ないが、映画ではその苦悩がなかなか伝わらなかった。
島の美しい風景が、逆に邪魔をしてるのだろうか。
構成上、謎解きがやや後ろずれしすぎているせいだろうか。
徹の苦悩を、島の周りの人々の葛藤に映し出しても良かったのかもしれないし、もっと早い段階で、記憶を封じ込めることになった事件を見せるべきだったのかもしれない。
エンディングの一人で船で沖に出る場面は、亡き由紀子に逢いに行くことなのだと思う。
苦悩が伝われば、その感動も余計に鮮明になると思うのだが、島の風景やめぐみや、生徒たちが良かった分、少し残念だった。

ワンコ