「浸れる良作」僕に、会いたかった おじゃるさんの映画レビュー(感想・評価)
浸れる良作
物語は大きな起伏がなく、淡々と進む印象でした。しかし、主人公の漁師と周囲の人との間に漂う、謎めいた妙な違和感の正体が気になり、最後まで退屈に感じることはありませんでした。映像的にも、隠岐島の自然、島での素朴な生活、島民のあたたかさ等が美しく描かれていたことも、本作の大きな魅力だと感じました。
また、EXILEのTAKAHIROさんの演技も、徹の置かれている状況とよくマッチしていて、とても自然に感じられましたし、松坂慶子さんの人情味あふれる演技もよかったです。あと、島留学生役の柴田杏花さんの演技もなかなかで、思わずもらい泣きしてしまいました。
ただ、徹が海に投げ出されるシーンがちょいちょいインサートされ、不穏な謎を思わせるミステリーライクな引っ張り方をしていたのに対し、ラストで明らかになった真相はそういう類のものではなく、いささかギャップを感じ、そこだけはちょっと残念でした。とはいえ、感動的で絵画的なラストシーンのおかげで、最後も気持ちよく泣かせてもらいました。なかなかの良作に巡りあえてラッキーでした。
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