「アナベルちゃん、あ~そ~ぼ~!」アナベル 死霊博物館 近大さんの映画レビュー(感想・評価)
アナベルちゃん、あ~そ~ぼ~!
『死霊館』に登場した最恐人形、アナベル人形を題材にしたスピンオフ第3弾。
“死霊館ユニバース”もこれで通算7作目。世間ではさすがにマンネリ化し始めて来て興行の方にも表れ始めているようだが、個人的には今回も楽しみにしていた。
『アナベル』シリーズはこれまで過去に遡って呪いの誕生や起源を描いてきたが、今回は『死霊館』と同時代が舞台。
アナベル人形が心霊研究家ウォーレン夫妻の手に渡り、封印される…というファンにはお馴染みの設定から始まる。
ご存知のようにアナベル人形は実在すると言われているヤバイ曰く付きの代物。幾ら地下の保管室で厳重に封印されているとは言え、ウォーレン夫妻、どんだけ鋼の心臓の持ち主なんだよ…? 自分だったら夜も眠れんぜよ…。
何があっても封印を解いてはならない。
絶対に封印されているガラスケースを開けてはならない。
いいか、絶対に開けるなよ!
…と前振りされると、開けてしまいたくなるのが人の常、作品展開上の都合。
ウォーレン夫妻が仕事で留守に。
幼い娘のジュディとシッターのメアリー・エレン、そこにやって来たメアリーの友人のダニエラの3人で一夜を過ごす事に。
ダニエラがある理由から保管室に忍び込み、アナベル人形の封印を解いてしまった事から…!
アナベル呪いパワー、フルスロットル!
これまで呪いの誕生や起源だったのでじわじわ系だったが、アナベル人形がもたらす恐怖パワーは同シリーズ屈指ではなかろうか。
無論アナベル人形が自らの意思で動いたり、某殺人人形よろしくナイフを持って襲い掛かって来たりなどはしない。
が、アナベル人形が引き起こす怪現象/恐怖現象のつるべ打ち!
最たるは、突然添い寝していたアナベル人形…!
アナベル人形は、ただそこに居るだけで…((( ;゚Д゚)))
アナベル人形は言わば、悪霊界の“クイーン”的存在。
そんなクイーンに引き寄せられたかのように、呼び醒まされたかのように、保管室に保管されていたいずれもヤバイ代物が次から次へと…!
呪いのウェディング・ドレス、お馴染みトイ・モンキー、数秒先の未来を映すTV、冥土への橋渡し料金であるコインとそれを瞼の上に乗せた死者、そして次のスピンオフの題材の噂にある狼男、日本人なら気になって仕方ないアレ…。
監督曰く、ホラー版『ナイトミュージアム』と言うくらい、オンパレード!
おっかなくてじっくり見れなかったこの保管室の物件あれこれもあり、今回のお楽しみの一つ!
主な舞台はウォーレン宅となり、スケールには乏しいが、その分密室ホラーを濃縮。
じわじわ煽りつつ、本家以来面白楽しくビクッドキッゾクゾクさせられた。
ユニバースに脚本や製作として多く携わり、『IT/イット』の脚本も手掛けたゲーリー・ドーベルマンの監督デビューであり、その手腕は上々。
ウォーレン夫妻役、ヴェラ・ファーミガとパトリック・ウィルソンの出演は嬉しいが、今回の主役は子供たち。
夫妻の娘ジュディ役に『gifted/ギフテッド』の天才子役、マッケンナ・グレイス。演技力が求められるホラー作品で、またしても堂々たる演技。
メアリーとダニエラにも美少女二人を配し、華を添える。
やはりホラーには美少女ヒロインが必須だね。
ドラマ部分も悪くなかったと思う。
ダニエラの行動はアメリカの典型的なバカ娘…と思いきや、ある理由が。
ダニエラは最愛の父を亡くしたばかり。しかも、自分が運転して起こした事故によって。
自分のせいで…。後悔。謝りたい…。
その心の弱みに付け入る悪霊たち。
あるシーンで、遂に幽霊となった父と再会。感動的なピアノ伴奏…いきなりビクッ!
ジュディも両親が詐欺呼ばわりの心霊研究家故、学校でいじめの対象に。加えて、母親譲りの能力が…。
心に傷を負った者と自分自身に苦悩する者。二人の交流がなかなかしみじみと。
メアリーには気になる男子が。ここら辺、学園ラブコメ風。
女子3人のキャピキャピトークあり、ラストも穏やかハートフルに終わり、意外やライトな面も。
でも、怖がらせる所はしっかり怖がらせてくれる、アナベルさん!
ユニバースで本家2作品の次(3番目)に面白かった。
冒頭で述べた通りちとユニバースにもうお腹いっぱいの風潮ではあるが、個人的にはまだまだ支持していきたい。
だって、あの保管室には引き出しがいっぱい!
呪いのウェディング・ドレスだって『ラ・ヨローナ』風の作品に出来そうだし、次のスピンオフは狼男らしいし、なにより今年は本家第3弾が控えている。
それらも楽しみだが、でもやはり一番は、あの鎧兜!
気になるぅ~!
映画化されたら『ゴースト・サムライ』か『死霊鎧武者』か。
何はともあれ、ジェームズ・ワン以下ユニバースの皆様、鎧兜のスピンオフを是非ともよろしゅうお頼み申しまする。