よこがおのレビュー・感想・評価
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いやあな映画!
久しぶりのジャックアンドベティ。
夜の会で、いやあな映画を観た。強烈に嫌な映画だった。
誰にでも、明日起きるかもしれない不幸。ごく近い親戚による、未成年者誘拐。それも自分が働いている場所での。
明らかに自分に責任はないが、しかしどうしようもなく降りかかってくる不幸。
非常によかった関係が、ある日を境に逆転する恐怖。そしてそれよりもさらに怖いのは、事件が起きてから、そのある日が来るまでの間の、見かけ上平和が続いている期間。
なんとなく想像できる破滅、そこから目を背けて暮らす日々の重苦しさに押し潰されるのは、演じている彼ら以上に、観ている我々だった。
その不幸の引き金は、ひとつの純愛。
八方塞がりの絶望感の果てで、ただひとつのやれることとして復讐を試み、ようやく果たしたつもりが、空振りに終わってしまうという、虚無感の中での虚しさの上塗りの、根本的な原因となったのも、その純愛。
と、とにかく何から何までいやあな映画です。これを最後まで見せる監督や俳優たちの力量は、心から凄いと思う。それも「音楽」や「効果音」という武器を使うことなく、自然の音と生活の音だけで。
凄い映画だから、観た方がいいと勧めたいのだが、たっぷりエネルギーを充填した状態で観ることが必要です。心がとにかく疲れるよ。
映画好きを裏切らない
小さな悪意が、普通の人の生活を壊して行く怖さ、悪意は誰にでもあり、それを体現するのかそれとも自身の中に留め置くのか。
悪意を受けた人間は、どう対処して行くのか、戦うのか、身を委ねるのか、ただ居るのか、少し踏ん張るのか・・
久しぶりに映画の醍醐味を得た。
それは、精神的な怖さもあるが、安穏にさせない画面作りにある。脚本の巧みさ、伏線、そして現在と過去、幻想を交差させた構成。ゾクって来るが、へーこう来たか、次はどう攻めて来る⁈と私にとっては挑戦させられる映画であった。
監督の才能を感じる。次の作品が楽しみ。
主役は山口紗弥加に雰囲気が似ている。
長い髪の毛を一本にまとめ真面目に仕事する清楚な感じと、髪を切ったうらぶれた感じの姿を見せてくれる。ちょっと見、同じ人とは分からない、この二面性は何⁈と考えて
けれどもうらぶれた逸子が、おばあさんが亡くなったと聞いて涙を流すシーンは、私にとって印象的だったし、おばあさん役の大方緋紗子さん、さすがであった。
気持ちが悪い、本当のホラー(精神的)
押入れ…
日常の中から生まれる狂気の恐ろしさ
怖かった 他の方のレビューをみて覚悟を決めて劇場に入ったのに、信頼の厚かった主人公が、「加害者」になっていく過程 自分に責任がないはずなのに、「ひとの心」は様々な羨望と嫉妬を生み、「加害者」を作り上げていく 筒井さんの演技はもちろんだけど、市川さんの「未熟さ」の演技は、観ていてとても怖かった 2年前の「夜空はいつでも最高密度の青色だ」では、池松さん演じる主人公の相手役石橋静河さんの母親役をほぼ実年齢に近い市川さんがやっていたことを思うと、彼女の大きさにとても驚く とても怖かった 「1日」に観たこともあったが、平日午後なのに年齢層の高い方ばかりで4割くらい埋まっていたことがうれしかった(8月1日 なんばパークスシネマにて鑑賞)
うまいなと
あまりにも繊細な映画
深田晃司監督のミューズは筒井真理子なんだな...と。
何が悪い、誰が悪い、と言い切れない。登場人物にあるのは明確な悪意ではなく、優しさ、躊躇い、激情、怒り、そしてどうしようもない程の哀しみ。虚無だ。
「無実の加害者」と呼ばれる主人公に世間は残酷だ。きっかけを作った人物はいる。しかしそれを何も考えていない(かのような)マスコミがひたすら無遠慮に追う姿がいちばん恐ろしいとも言える。あれが、我々が「知りたいもの」を追う姿なのかと思うと本当に薄ら寒くなった。そして、「被害者」しか見ないこの社会にも。正義は怖い。本当に。
演者全てが凄まじい演技合戦を見せる。筒井真理子の圧倒的存在感。二面性。表情全てが完璧すぎて圧倒された。そして市川実日子の「欲」。もうあれは愛というより欲、執着だろう。恐らく本人も自分が何をしているか分かっていない、無我夢中な者。ふたりの演技合戦が心を震わせる。
深田晃司監督は人の情と悪意というか、嫌悪を描くのが本当に巧みだ。人の感情の機微にとんでもなく繊細だ。彼が見つけた「ミューズ」筒井真理子の映し方...。筒井真理子とはこんなにも凄まじい女優だったのか、と思った。「淵に立つ」より一層感じた。信頼関係があるのだろうな。
筒井真理子の豪腕全力投球
梅雨のジメジメ時期は、選挙関係の偏向な報道やら、吉本騒動の無責任なジャーナリズムやら、京アニ遺族への非常識なマスコミ取材やらに気分悪くなってたし、もう、そういうの忘れて仕事と映画を楽しもう!という気分で観た…。
非常識なマスコミ取材気分悪いわ!!!
マイティ・ソーのトンカチで一人ひとり頭割られてろ!って話。
…って、さすがに今この時期観ると思っちゃうんだけど、たぶんそういう「ジャーナリズムの暴力」へのアンチテーゼがこの映画の主題ではないと思うので、まぁ、それはそれとして。
なにはともあれ“筒井真理子 THE MOVIE”と言ってもいいくらい、筒井真理子が豪腕全力投球で筒井真理子。
「みんな見て見て!これがオレの好きな女優:筒井真理子だよ!!」っていう、深田晃司監督の惚れ込みっぷりが、スクリーンからビッシャビシャにダダ漏れてる。
「筒井真理子をキレイに撮りたい!」ってだけのモチベーションじゃなくて、「筒井真理子の女優としてのポテンシャルを全部写し取りたい!!」みたいな情動を感じる。
たぶん筒井真理子もそのへんを信頼していて、「なんでも来いや!やってやる!!」という猪木イズムを発揮できている気がする。
そんな深田晃司監督と女優筒井真理子の信頼関係で結ばれた、“映画界のBI砲”と言うべきタッグが見せようとする試合が、面白くないわけがない。
『淵に立つ』でも筒井真理子は、シン・ゴジラばりの形態変化を見せてくれたし、本作でも筒井真理子はフリーザばりの戦闘フォームチェンジを見せてくれる。時間軸を説明するための髪型髪色や衣装のフォームチェンジだけじゃない。リアルに戦闘形態に変形したりしてるので、「何させてんねん!!」と本域でビックリした。
僕モテラジオで上鈴木伯周さんが「筒井真理子は日本のイザベル・ユペールだよね」ってチラッと評してたけど、確かに確かに。本作は少なからず『ELLE』は意識したと思う。自室の窓から男を覗き見る場面なんて、「この後主人公がオナニーし始めたらどうしよう!!」って思ったもん(笑)。
でもそういう主人公の人物造形を、「熱演、怪演の女優魂」みたいなケレン味だけにしていないのは、深田晃司監督の演出の上手さと女優筒井真理子の演技の器の凄さだと思う。
以前『旅のおわり世界のはじまり』を評したときに、“演技の強度と精度”について論じたけれど、筒井真理子は本作で、強度の演技も精度の演技もキッチリ演じ切っていて感動的だった。
細かいところだけど、筒井真理子が訪問介護先をクビになる場面があって、それを言い渡された瞬間の筒井真理子の表情の変化が、悔しさや悲しさや怒りややるせなさといった何層かの感情のグラデーションを表現していて本当にスゴい。
深田晃司監督の作劇の巧みさ、演出のカッコ良さ・品の良さもスゴい。
Jホラーの一歩手前のような光と影の演出で、「追い詰められる感」や「壊れ始める感」がゾクゾク伝わってくるし、「主人公の引きずる足音」や「インタフォンのうるさい音」とかで主人公の感情の揺れがビシビシ伝わってくる。
公園のベンチで筒井真理子と吹越満が(物語的にけっこう重要な)話している場面を、子どもが遊んでる背景として見せるところとか超カッコ良かったし、
主人公の「叫び」を、どのようにして表現したか?っていうことも、すっごく心に刺さる「叫び」だった。
お話としては『淵に立つ』に通じる部分が多いように感じて、それが深田晃司監督の作家性なのかどうかはもっと他の作品を観る必要があるけど、“自分が囚われてしまった呪いとの折り合いをどうつけていくか”の物語だったように思う。
ある意味では『淵に立つ』の対になっている話だし、別の意味では『淵に立つ』を違う視点でなぞった話であるとも言えるかもしれない。
どちらにしても面白かったし、観る価値のある映画だと思う。オススメ。
ただ、ただ素晴らしかった
閉口頓首
面白い。深い。
彼女はそこまで罰を受ける必要があるのか
人間の業を嫌という程抉り出した作品。凡庸なホラー映画より余程怖い
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