よこがおのレビュー・感想・評価
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主演・筒井真理子の役者魂
誘拐を犯した弟をもつ女性が、周囲の偏見から孤立し、復讐しようとするが空回りする話し。
全体的に曇天のトーン。男性不在の女性同士のドロドロした情を描く。筒井真理子という女優を当て書きしたような脚本に思える。
筒井真理子の演技はすばらしい。構成としては、現実なのか主人公の妄想なのか、はっきりしない。すべて妄想であったなら、のっぺりした日常を描いているともいえる。
ベテラン女優の貫禄
こういう感じか…
薄い氷の上で成り立つ人間関係の輪
楽しい気持ちにはならない。終始心をキリキリさせながら、でも面白くて最後まで観た。
人間関係という薄氷を、自分のちょっとした欲望のために崩した方は、
大抵何にも覚えていないよね。
人間関係って、そういう、いつも危ういバランスの上で成り立ってるとしみじみ思うと同時に、やっぱり苦しくなる。
欲望に満ちた顔がその瞬間が、誰しも真っ暗で見えないのがとても印象的でした。
深田監督と筒井真理子のコンビは日本映画の宝だ!
わだかまりが残る
吠える
浅い。
ストーリーの浅さは美容院の安週刊誌レベル。
つまり
《ヘルパーの市子を同性として愛してしまった基子が、恐らく辰雄を何らかの方法でそそのかして妹を誘拐させ、妹を傷物にして葬り去り、愛する市子を独占しようとした。しかし薬が効き過ぎて市子は去っていった》
というお話ですよね。
殆ど冒頭で筋書きが見えてしまった。
ありきたりです。
監督は「どうだ、暗い気分になったろう?」と言いたいのだろうか
最後にどんでん返しがあるのかと思って終わりまで頑張って堪えていたがエンドタイトルが流れて、終わっていた。
作り的にも“伏線”かな?と期待するエピソードにもまったく回収がなく放置。これなら「カメラを止めるな」のほうが真摯です。
意味のない登場人物は男たち3人。すなわちぼそぼそ喋るKY の美容師、黙秘ではなく喋れないだけの甥の辰雄、なんも動かない弱い初老の医者。
男は弱いか亡くなっていて不在かのどっちかだ。男たちを見ているとイライラする。
せっかくあれだけ窓のシーンを多用したのだから、大どんでん返しで一等最後に「医者と妹の窓辺の姿」で我々を愕然とさせてもらいたかったな。
つまり
初老の訪問医と妹サキは実は肉体関係。若い体に溺れた医者は次第に婚約者市子を疎ましく思い始め、辰雄を使って市子をはめたのだ・・
― これくらいでなくちゃ観客はびっくりしませんよ。
つまらなくてびっくりはしたけれど。
シナリオがバラバラなのです。どの人間関係にも深みがない。
湖の意味のないカットは不要。どうせなら幻影で基子と市子の押入れの全裸シーンを挿れ、基子を主人公にした映画にすればずっと良くなったろう。
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星1/2はBGM のぶんです、
楽器はスタインウェイではなくベーゼンドルファーを使ってのバッハのインベンション。
或る出来事をきっかけに、毎日を丁寧に生きて来た女性の
役者の個性発揮?
大丈夫、市子さんは何も言わない方がいい。
前作を彷彿とさせるゾワゾワ感。
全編、時系列が交錯する。ただ、市子自身の雰囲気が違うだけでなく髪形が違うので、それが「前後」のアイコンだと見極めればいいから問題はない。観る者の視点を惑わす手段はそんなとこじゃなく、例えば「ハクシャク?、カクシャク?」とか、気になるようなならないようなわずかな不快感を挿し込んでくるので、座り心地の違和感みたいなものがずっとある。そしてときどき、動物的な夢想やら、ひまわりやら、はっとするくらいものも放り込んでくる。そんな進展に身構えていると、どう?こういう一面もあるでしょ誰にだって、とばかりに静かな横顔の画を差し込んでくるから憎い。ほら、あなたの中にだって隠している本心があるでしょうと言わんばかりに。澄ましててもわかるのよ、とばかりに。
市子は、事件によってそれまでの生活を失ったことをきっかけに変貌した。怖いのはそうなってしまった彼女ではなく、報道の正義を振りかざすマスコミや仲良かった同僚などでもなく、基子だ。きっかけは事件そのものであるにしても、基子の執着(偏愛とでもいうか)によって市子が追い詰められていったのだ。市子の復讐劇でさえスカされたのではないか?と勘ぐる。ああ、この人は私を忘れていないのだと。つまり、事件後、自分と犯人との関係を告白しようとした市子を止めたときから、すでに市子は基子の手中に落ちていたのだ。市子は、それからずっと基子の心の中に軟禁されていたのだ。市子の復讐はむしろ基子の満足を高め、活力にさえなったのだ。そうじゃなくては、基子が平然と最後のシーン近くの姿(つまり職業)でいるはずがない。基子の満足は、共にいる時間でもなく、仲良くすることでもなく、ましてや身体を重ねることでもなく、自分の手の内に(影響下に)納めること。そして「好きな人に成り代わる」こと。そんな基子本人にその自覚が希薄なのではないかという懸念が押し寄せるから、怖いと思うのだ。むしろ市子は、精神がもともと正常だからこそ心が壊れて変貌してしまった。「無実の加害者」はむしろ基子ではないかと戦慄する。
いま。違うぞ、狂気をはらんでいるのは誰だよ?と誰ともなく訴えかけたい心境でいる。
深田監督にとって、筒井さんを主役に女性を描きつくしたかったんだろう...
丁寧かつ大胆な構成
シーンのつなぎが非常に独特。王道ではない、雑とも思えるその編集が深田監督の世界観を作り上げている。
またカットの長回しが機知に富んでおり、その移り変わりがまた鑑賞者を引き付けていた。特に事件前・主人公のヘルパーが老婆の世話をするシーン。変な緊張感を模した演出がスクリーンから醸し出され、刻々と孤独になる主人公を暗示している。
行き先が覚束ない序幕や時間軸をずらしたことも事件後に主人公に降りかかる辛いエピソードを引き立たせるアクセントになり、構成の妙が活きている。
喫茶店で向かい合うシーンは横から撮ることになるのでどうしてもテンポがずれ、人物の心情が伝わりずらくなっていた。
映画全体として一人の女性が窮地に立たされ、親友に裏切られ孤立していき復讐に向かうさまを丁寧かつ大胆に描いたサイコ的良作であった。
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