「後悔先に立たず、善人に降りかかった災難に震える」よこがお まだまだぼのぼのさんの映画レビュー(感想・評価)
後悔先に立たず、善人に降りかかった災難に震える
鑑賞後の余韻が物凄いです。
100%善人の市子は、突如訪れた不運という言葉では片付けられないけど、その表現しか見当たらない出来事により全てを失います。市子は被害者なはずだし、巻き込まれた第三者(血縁関係があるので言い切れないけど)のはずなのに、小さなごまかし・嘘によって、加害者のような扱われ方になってしまう。その過程がとても見ていて辛く苦しく、どうして今話さないの…!と、もどかしい。でも、ごまかしてしまう気持ちも分かるし、正直に話したって状況は変わらなかったかもしれないし、何が正解かは分からない。だからこそ、ただ苦しかった。
市子の周りの人たちは皆弱い人ばかりだから、市子が結局背負うしかないようにも見えて、それもまた苦しい。甥っ子、妹、基子。みんな弱い。だから責められない。
「あの時に戻れれば…」と後悔するけど、どこまで戻ればいいのか分からない。そんな絶望や喪失がほとんどの作品ですが、でも少しは希望があると、ラストは解釈したいです。そうであって欲しいと思います。
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