「静かに忍び寄る恐怖にビクビクが止まらない!」よこがお ガーコさんの映画レビュー(感想・評価)
静かに忍び寄る恐怖にビクビクが止まらない!
筒井真理子さんによる、筒井真理子さんのための映画でした。
彼女の良さが存分に発揮されていた神作!
何が凄いって、喜怒哀楽をここまで巧みに演じ切った人はなかなかいない。
笑ったり泣いたり、密やかに怒り、憎しみの心を忍ばせていく。
過去の優しいナースの姿と、現代の行き当たりばったりな淫乱女。
どちらの彼女もすごく魅力的で、過去と未来を行き来する間に、どんどん筒井真理子さんの世界に惹かれていく…。
こんな魅惑の女性なかなかいません。
彼女の演技に圧倒されました!
彼女が、なぜこんなにも魅力的に描かれていたのか?
それは、きっと監督の女性を描く描写がとてもうまいからに他ありません。
今回の試写会では、上映後に監督自ら登壇して頂き、この作品の魅力について、存分にお話しして頂きました。
監督曰く、もともと筒井真理子さんを主役にして作品を描こうと思ったとのこと。
その時は、3人の女性の殺伐とした内容を考えていたようですが、そうすると筒井さんの魅力が半減してしまうと思ったそうで…。
その為に、3人ではなく、1人の女性ともう1人の女性との関係を濃厚に描こうと考えたようです。
なるほど、確かに、筒井さんの魅力ある演技を引き出す為には、市川実日子さんの存在が欠かせなかったように思います。
加害者と被害者の関係を超えて、2人の感情が複雑に絡み合っていく情景がこの世界をどんどん震撼させていく…。
後半では特に、市川さんの存在にあっとうされていき、鳥羽だの立つ笑いが起きるのも納得の結末でした。
ハッピーエンドを期待するような作品ではもちろんありませんが、社会派の何かを訴える映画でもない…。
この映画で感じて欲しいのは、いつ何時でも、簡単に人は事件に巻き込まれて、思いもよらない人生を起こることがあるってことが言いたかったと、そう語る監督。
最近、見ず知らずの人が突然人を刺したり、放火したりする事件が多いから、自分もいつ何時事件に巻き込まれてもおかしくない…。
そんな、恐怖に気持ちが包まれてしまう、ちょっと人間不信になりそうな映画でした。
久しぶりに緊張しっぱなしの映画鑑賞でした。
面白い映画をありがとうございました(^^)