「ルパン三世を観れる幸せとルパン三世を作る難しさ。」ルパン三世 THE FIRST マツマルさんの映画レビュー(感想・評価)
ルパン三世を観れる幸せとルパン三世を作る難しさ。
ルパン三世の3DCGアニメ劇場版が公開との事ですが、正直そんなに期待もせずですが、鑑賞しましたw
で、感想はと言うと、まぁまぁw
こんなもんかと言えばこんなもんで可もなく不可もなくと言えば、そうなんですけどなんか惜しいんですよね。
鑑賞前のいろんなレビューでの酷評も些か気にはなりましたが、夏に同じく山崎貴監督が担当された「ドラゴンクエスト:YOUR STORY」ほど悪くはないんですがw、確立され過ぎているルパン三世と言う作品の難しさが改めて分かるとも言えますが物足りなさは感じます。
ルパン三世のあのテーマ曲が流れると勿論ワクワクするし、テンションは上がります。
そんなパブロフの犬状態であってもw、ルパンでワクワクしたい気持ちは変わらない。
でも、ストーリーは良く言えば王道パターンですが、悪く言えば目新しくない。そんなに凝ってもいないし、ルパンとしてのパターンは踏まえてはいますが盛り上がりもなんか薄い。
「ブレッソンダイアリー」に記された伝説の秘宝を巡ってのストーリーも特に普通だし、その伝説の秘宝がちょっとブッ飛び過ぎw
今回のゲストキャラを活かした設定とは言い難いし、ルパン以外のレギュラーキャラの活躍もなんか薄い。
93分と言う上映時間は決して長い訳ではないのに、途中での間延びも感じられる。
後半からの展開なんかは“天空の城ラピュタか?!”と思わせますw
ラストは「カリオストロの城」を意識してるかな?
今回のヒロインのレティシアの衣装もなんか「進撃の巨人」の調査兵団を思わせる様な感じだしw
ランベールの心理描写もなんか分かり辛い。
あと個人的に気になったのは劇中のルパンが銭形警部に発した台詞の“さ~すが!昭和一桁”の台詞。
「カリオストロの城」からの引用かと思いますが、今回のルパンの設定の年代が何時なのかにもよりますが、それでもここ最近かとは思うんですよね。
そうだとしたら、昭和一桁だと、銭形警部の年齢は50歳でも効かない訳で、ちょっと興醒めw
特に年齢を気にする訳ではないにしても、特にこの台詞を入れる事も無かったのでは?と思います。
何よりも3DCGにした理由が正直見当たらない。
ルパン三世と言うアニメーションで確立された物を新しい試みとしてCGアニメにした挑戦意欲は買いますが、その3DCGアニメ自体がなんかカクカクしてて、“これが最新技術での新しいルパン三世か?”と疑ってしまいます。
また、肝心のゲスト声優も下手ではないけど、なんか足りない。
レティシア役の広瀬すずさんは過剰な演技がなんか気になるし、時折アクセントもなんか変w
ランベール役の吉田鋼太郎さんもゲラルト役の藤原竜也さんも妙に作り過ぎている感があるし、藤原竜也さんはそのまんま藤原竜也節なので、観ていてもキャラとなんかしっくり合ってないんですよね。
それ以上に気になるのは次元大介役の小林清志さん。声もかなりカスれているし、何より張りが無い。なのでルパンや五ェ門との掛け合いではどうしても目立ってしまい気になり過ぎるんですよね。
小林清志さんは御年90歳に届こうかと言うお歳なので、年齢を考えると致し方無しと言うか、頑張っておられるとは思うんですが、どうしても他のキャストの方との掛け合いでは気になります。
オリジナルキャストの方から次の方へのキャストチェンジはデリケートかつ切実な問題で、小林清志さんの交代が正式な物になるとショックではありますが、それでも作品の質に関わる問題でもあるかと思うからこそ、クオリティは気にします。
ルパン三世と言う不滅の作品は誰もが知っている作品で、定期的にアニメ作品が作られていて、いろんな時代でいろんなルパン三世が存在しますが、時代と時間に左右されない作品かと思います。
勿論人それぞれのルパンがあって、名作と言われる「ルパン三世:カリオストロの城」やテレビシリーズの緑ルパンや赤ルパンに比べるのは野暮かも知れませんし、その時代に沿ったいろんなチャレンジがあっても良いと思います。
ですが、大前提として作り手の熱意とルパン三世へのリスペクトや愛は感じたい!
それは観る側はやっぱりルパン三世と言う作品が好きだからこそなんですよね。
今年に入って、原作のモンキー・パンチさんや二代目 石川五ェ門役の井上真樹夫さんがお亡くなりになられて寂しい限りですが、何時の時代でもルパンが定期的に製作されて観られる事は改めて考えると幸せですよね♪
久しぶりに劇場のスクリーンでルパンを観れたのは良かったけど、やっぱり物足りなさも感じますし、もう少し今回のルパンが3DCGアニメで作られた意義を見出だせられたら良かったかなと思います。
割りと辛口に書きましたが、ルパン三世が大好きだからこその個人的な感想の1つとして考えて頂けたら幸いです。