劇場公開日 2019年4月27日

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「【原題:”Nos Batailles:私たちの闘い” フランス雇用問題を背景にした社会派映画。父親の役割を果たしていなかった男が、自らの過ちに気付き人生の軌道修正に踏み出す姿を描いた作品でもある。】」パパは奮闘中! NOBUさんの映画レビュー(感想・評価)

3.5【原題:”Nos Batailles:私たちの闘い” フランス雇用問題を背景にした社会派映画。父親の役割を果たしていなかった男が、自らの過ちに気付き人生の軌道修正に踏み出す姿を描いた作品でもある。】

2020年6月18日
PCから投稿
鑑賞方法:CS/BS/ケーブル

知的

 -脚本が粗いが、キチンと観ればオリヴィエ(ロマン・デュリス)の妻、ローラ(レティシア・ドッシュ)が家出をした理由が仄かに理解出来てくる。-

 オリヴィエが働く物流倉庫会社の労働環境、雇用条件が相当劣悪な事が徐々に明らかになる。
 ・年齢の影響なのか、生産性が落ちたオリヴィエの同僚、ジャン=リュックは人事担当の女性から、あっさりと馘首され、自ら手首を切る。
 ・同様にオリヴィエの同僚の女性は妊娠を理由に契約を更新されない・・。

ーおい、フランス。相当ブラックな企業をかかえているな・・。日本も同様だが・・。-

 オリヴィエは彼らのリーダーとして、”会社では”奮闘中であったようだが、家庭ではそうではなかったようで、妻ローラは二人の子供を愛していたが、アパレル店の店員として働く中”ある客の姿を見て:キャッシュカードで支払いをしようとしたが、カード残高が足りなかった・・”気を失い、そのまま失踪する。
 又、息子、エリオットの火傷も遠因であるようだ。

ーこの辺りも、描き方が粗い。だが、徐々にローラが不安定な精神状態にあったことが仄めかされる。理由もはっきりとは描かれないが、夜遅くにならないと会社から帰ってこないオリヴィエにも一因があるようだ・・。-

 ある日、ローラから”子供たちに”絵はがきが届く。文面は子どもたちへの愛の言葉で埋まっている。(オリヴィエには、一言も言及されていない・・)
 投函先はフランス北部のカレーのヴィッサン、ローラの故郷である。
 オリヴィエはそのはがきを読み、怒りのあまり、破り捨てる。子供たちはセロテープでつなぎ合わせる・・。

 オリヴィエは仕事の関係もあり、妹のベティに二人の子供の面倒を頼むが、時折”父譲りの上から目線の言葉”をベティに”自ら気付くことなく”述べてしまう。それをベティから”お父さんそっくり”と非難されるが、意に介さない。
ー成程、ローラが家を出た理由が見えてきたぞ・・。-

 オリヴィエは会社の労働組合活動に従事するクレールと、関係を持ってしまうが、組合活動に深入りしたくないと表明すると、クレールから関係を途絶されてしまう。
ーおいおい、労働問題と男女関係を同テーブルで描くのかい?-

 そのクレールも組合活動は合わないと身を引くし、会社側の人事担当の女性も馘首されたことが、新たな人事担当の男性からオリヴィエに告げられ、
ー明らかに、人事担当としては権力の乱用が理由であることは明らかであろう。-
 オリヴィエは人事部門に来ないかと誘われる。

 そこで、オリヴィエの取った選択肢とは・・

〈ヌルイ邦題と(センスの欠片もない!)、可成り粗いストーリー展開に戸惑いつつも、フランスの”ある業界”の劣悪な雇用環境・条件を背景にした、家族をテーマにした物語。

 確かに”パパは奮闘していた”が、本来奮闘するべき場”家庭、子育て”で父親としての役割を果たしていなかったことに彼自身が気づき、妻との関係性を修復しようと新たな一歩を踏み出す姿を描いた作品。

 ”可成り上から目線で”、ギヨーム・セネズ監督、もう少し脚本を練り込まないと、観客はついてこないぞ!と思った作品でもある。>

NOBU