「夫婦生活の議論は尽きない。」パパは奮闘中! ガーコさんの映画レビュー(感想・評価)
夫婦生活の議論は尽きない。
タイトルとのギャップにビックリ!
意外と深刻で深いテーマの映画でした。
実際殆ど笑えなかったし…。
でもこれは、家庭を持っている男女に是非見て夫婦生活の在り方を考えてみて欲しい。
ただ、一つ言えること。
それは、この映画に正解はないってこと。
夫が悪いとか、妻が悪いとか、そういう答えを探す映画ではありません。
こういう現状があることを知って、どうしたら互いが分かり合えたのか、考えてみるのが良いのかもしれない。
夫は仕事に邁進してばかりで、家庭を顧みる暇がない。
家事育児、子供の病気までも妻が全てを世話して、負担になっている…。
そんな生活が続いていれば、自ずと結果は見えてくる訳で…。
精神崩壊した妻が失踪してしまう気持ちも分からなくもない…。
よく、子供が可哀想、何もかもかなぐり捨ててどこか行ってしまう妻なんて、現実にはいない!
という人もいるかもしれないけど、私の知り合いには実際そんな親がいたのも事実なので、一概にこれがフィクションとは思えませんでした。
でも、こういう話ってアジア圏に多くある問題だとばかり思っていたから、まさかフランスにもあるとはビックリ!
フランスってもっと男女平等だと思っていたけど。
日本と同じで女性が家事育児を担っているのね…。
妻が出て行った後の、夫の必死な姿に同情したくなる気持ちもあるけど、妻の精神不安定な状態も心配…。
妻が心を病んだまま家庭に戻ってきて、気持ちを悪化させてしまったらという不安もあるし、このまま父子家庭となっていくのかという不安もある…。
不安の尽きない展開ばかりでした。
そんな複雑な内容が続く映画ですが、この映画の最大の魅力は、ラストにあります。
作品を完成させるのはお客様と監督もおっしゃっていたように、この作品のラストは答えがない…。
つまりは、問いかけて終わるという斬新な手法にあります。
あえて答えを作らず、全てを観客に委ねたその挑戦的な仕上がりには驚かされました!
ついつい、答えを求めたくなるのが人間ですが、そこをあえて作らず問いかけさせるという…。
この映画を観た夫婦は、絶対家庭生活を議論したくなるはず!
ただ、一つ納得いかないことが…。
『パパは奮闘中』という日本のタイトル。
これを見たら、絶対娯楽映画だと思ってしまいそう。
内容が内容だけに、もう少しリアリティのあるタイトルにして欲しかったなぁと思うのでした。
最後に…。
試写会では、監督と主演のロマンデュリスさんが登壇してくださいました!
想像よりずっと若くイケメンの監督は、自分の子育ての経験をこの映画に取り入れた様子。
実際監督も離婚して子供を育てたという、実体験が元になっていたとは。
さらにこの映画では、シナリオはあっても台本がなかったという話!
出演者はアドリブや、その場の状況に合わせて会話していたようです。
なので、言葉の掛け合いがすごくリアル!
切実な家庭の惨状が、とてもリアルに伝わってきました。
今回、日本での上映は初とのことで、とても貴重だ経験をさせてもらいました。
監督直々にお話を聞ける機会なんてなかなかない!
こういった素晴らしい体験をさせてくれたFilmark さんの感謝です。
ありがとうございました。