「【”あの惨劇の夜に囚われた双子の姉妹。”ハワード・フィリップス・ラヴクラフトの怪奇・幻想小説を可視化したかの如き作品。パスカル・ロジェ監督が作り出した怪奇・幻想の世界に取り込まれる作品でもある。】」ゴーストランドの惨劇 NOBUさんの映画レビュー(感想・評価)
【”あの惨劇の夜に囚われた双子の姉妹。”ハワード・フィリップス・ラヴクラフトの怪奇・幻想小説を可視化したかの如き作品。パスカル・ロジェ監督が作り出した怪奇・幻想の世界に取り込まれる作品でもある。】
■人里離れた亡くなった叔母クラリスの家に移り住むことになったシングルマザーのポリーン(ミレーヌ・ファルメール)と双子の快活な娘ヴェラと怪奇・幻想小説作家、ラヴクラフト好きのべス。
新居に到着した夜、暴漢が家に押し入り、母は姉妹の目の前で暴漢たちに反撃しメッタ刺しにした。
その惨劇から十数年後、怪奇小説家として成功した双子の妹・ベス(クリスタル・リード)が久しぶりに実家に戻ると、母は歓迎してくれたが、双子の姉ヴェラ(アナスタシア・フィリップス)は精神を病み、地下室で何者かに怯えながら生活していた。
◆感想<Caution!内容に思いっきり触れています。>
・冒頭は、上記の暴漢が家に侵入するシーンが展開され、その後怪奇作家として成功したべスがTV出演し、実家に帰って来る。
・だが、観ていると徐々にそれは暴漢たち(太った人形を愛する精神障害の男と、”魔女”)に長年囚われていたベスの妄想である事が、随所でヒントとして描かれる。
まるで、ハワード・フィリップス・ラヴクラフトの怪奇・幻想小説のように。
・それは、劇中のパーティで着飾ったベスが、或る面長の男性に話しかけると、その男性は”この「ゴースト・ランドの惨劇」は私の最高傑作で、これに少しでも加筆修正する者がいたら、私は許さないよ。”というシーンからも明らかである。
その男は、ハワードと名乗るが、ラヴクラフトの本の彼の写真にソックリであるし、ラヴクラフトの正式の名はハワード・フィリップス・ラヴクラフトである。
・つまりは、母ポリーンが暴漢の首を掻っ切ったのではなく、真実は描かれるように、暴漢が母の喉を掻っ切ったのであり、快活な娘ヴェラはそれを見て、地下室に逃げ込みながらも精神異常の暴漢たちに虐待を繰り返され、怪奇・幻想小説作家、ラヴクラフト好きのべスはその事実を受け入れず、”妄想の中で”自分は怪奇小説家として成功した作家であると思い込みながら、生活をしていたのである。
<今作は、序盤から張り巡らした上記の伏線を巧妙に張った作品であり、不快感が尋常でない作品である。
何故に、太った人形を愛する精神障害の男と、”魔女”は新聞に書かれているように、複数の家族の親を殺し、子供も生かしていたのか。
それは、今作でも描かれているように、彼らが飴を売るトラックに乗って移動していた事と、多数の人形を偏愛していた事から類推出来るであろう。
いずれにしても、嫌な記憶が残る作品である・・、と言う事はパスカル・ロジェ監督が作り出した怪奇・幻想の世界に取り込まれたという事であろう。>