「特別さとハートの数はイコールではない」エイス・グレード 世界でいちばんクールな私へ つとみさんの映画レビュー(感想・評価)
特別さとハートの数はイコールではない
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人には出来ること出来ないこと、得意なこと不得意なことなど、個人差がある。大人になれば当たり前の話だが、それは子どものころに自然とそういったことを学んだからだ。
児童のころは差の存在にまだ気付けない。学校に入るころになると徐々に差の存在を認識し始める。
そして妬みや憧れなどを経て、大人になるころには他人との差を受け入れ、そこから更に気にもならなくなっていく。
そんな中で14歳という、他人との差を理解できるが、それを素直に受け入れられるほど大人でもない誰でも通る道の一瞬を捉えた作品。
良くいえば普遍的で広く訴えられる作品だが、悪くいえば特別さのないありきたりなストーリーともいえる。
しかし、ビデオを使ったケイラの内面の描写や、大袈裟な音楽の使い方は、笑いと面白さを届けてくれた。
物語冒頭のケイラが考える「クールな私」は他者からの評価だ。
ああなりたいこうなりたいと悩み、人からどう見られたいかばかり考えている。
父との会話、卒業までの出来事、それですら特別なことではないが、高校生になる自分という一歩で少しだけ大人になる。
二度目のタイムカプセルに書かれた文字が、形にとらわれたレタリングから手書きに変わった。
「クールな私」の意味が、他人からクールに見られたい私から、私が思うクールな私に変わった。
そこに込められたビデオの内容に、やはり特別なことなど何も言ってはいないが、強く心を打たれ、泣けてきてしまうのだ。
若き日に悩んだ多くの人に、ケイラのビデオは届き、刺り、役に立ったと思うよ。
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