「果てしない深淵、いよいよ佳境に」劇場版メイドインアビス 深き魂の黎明 みりぽんさんの映画レビュー(感想・評価)

4.0果てしない深淵、いよいよ佳境に

2020年2月15日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

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第5層・非道の宿敵ボンドルド卿との一戦。まさに劇場版に相応しい佳境。
これを見ておかないと2期を見ることができない。期待の一作。
アニメ1期で物語の裏側を暴いてしまったので、アニメほどの大きな衝撃はないものの丁寧に作られた作品でとても好印象だった。
特に迫力のバトルシーンがなかなか気合入っていてさすが劇場版と言ったところ。
グロ描写も言われている程は気にならなかったが相変わらず子供に非道いことをするのは少し気が引ける。
また、何度も起き上がってくるボンドルドは少しチート臭い。あっけなく倒してしまうのも面白くはないが、少し1キャラに対して引っ張り過ぎではないか。
ただただ私利私欲で子供達に残虐な実験を繰り返し命を奪うだけというのはうんざりしてしまう。悪役は分かりやすい方がいいとは言え、単調さが目立ったのが残念だ。
あまりにも分かりやすい悪党という印象が強すぎるので、もう少し非道な実験と引き換えに得られる対価があればよかった。

一方で不思議とリアリティを感じるのも確かである。
アヴィスの深淵を夢見て目指してやってくる若者は、現実社会の若者と瓜二つだ。
まるでアニメの声優やアイドルと言った夢に憧れてやってくる若者を食い物にする経営者のよう。
そういった現実社会の闇の構造をファンタジーにうまく落とし込んだように見える。
特に衝撃を受けたのは使える部分だけを切り取って残りは捨てる人間のカードリッジ。そのエネルギーの構造がイマイチ不明ではあるが、例えば労働力と捉えれば世の中の弱者からエネルギーを搾取し使い捨てするという構図とも読める。
それとも特定の民族を虐殺し臓器売買で利益を上げると疑われている某国だろうか。
この作品は我々に何か隠されたメッセージを発しているようだ。

みりぽん