「モード界の異端児と呼ばれたカリスマデザイナーの一生」マックイーン モードの反逆児 SpicaMさんの映画レビュー(感想・評価)
モード界の異端児と呼ばれたカリスマデザイナーの一生
大泣きだ。
1969年英国の労働者階級家庭で6人兄弟の末っ子として生まれた、リー・マックィーンという夢以外は何も持たない一人の青年が、モードをアートの域に高めた立役者の一人、アレクサンダー・マックィーンになり、40才で生涯を自分で終えた。その疾風怒濤の人生が、彼の創った作品とともに、手に取るように鮮やかに描き出されていた。
若者らしい破天荒さで、革新的なファッションを実現して行くも、名を成すにつれ悩みもまた大きくなる。その優しい性根ゆえに、身近なスタッフの生活を支えるため心身を削っていく。常に締切に追われる、心にゆとりのない生活の中では、身近な仲間達が普通の幸せを手に入れていくのを目にすれば、自分の人生に疑問を持つに至ったのも無理はない。それに追い討ちをかけるような人生の意地悪の数々。それでも。
もしちゃんと「time-out」を取って、遠くから自分を俯瞰する時間があったなら、と想像する。その後で、もう一度生まれ変われるとして、どんな人生を選ぶかを尋ねられたら。
彼の創り出した素晴らしいドレスの数々、革新的なショーを想う。
彼ならやはり、モードの創造に携わる人生を選ぶような気がした。
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