「スティーブ&ジョン・Cの最高のステージ」僕たちのラストステージ つとみさんの映画レビュー(感想・評価)
スティーブ&ジョン・Cの最高のステージ
実在のコメディコンビの晩年を描いたドラマで、主演の二人、スティーブ・クーガンとジョン・C・ライリーはほとんど特殊メイクで共に最高の演技をみせたと言える。
シリアスな場面はもちろんだが、コミカルな場面、特にステージでのコントシーンは本当に笑えるし、コメディアンとしての能力を見せつけた。
スタンとオリーの二人は、休日を共に過ごすような友人関係ではなかった。ただ長年コンビを組んできただけかもしれない。しかしそれは、普通の友情を越えた、夫婦のような関係だったように思う。
スタンは女優を妻にし、オリーは脚本家を妻にした。それぞれスタンからみたオリー、オリーからみたスタンのような存在で、ある意味、二人がお互いを強く意識し必要だと思っている、絆の深さを感じさせた。
他にもいくつかいいセリフがあった。
ステージ上で何度か言った「僕たちは楽しかった」は、お客さんを笑わせるよりも先に、自分たちが最高のパートナーと楽しんだということだし、最後の船の上での会話で、「なぜ演技の練習を?」の問いに「他に何をする?」と答えるのは、自分にはスタンとオリーのコントしかないという表れだった。
スタンは常にオリーの演じるシーンの脚本を書き、君はこうする、君はああする、君はこう言う、と、さっきまで沈んだ雰囲気だったとしても急に楽しそうにオリーに語り、オリーはそれを至上の喜びであるかの如く聞く。
険悪だったりケンカしたりする場面もあるが、そういうことも含めて、全編を通した笑いと、二人の友情を越えた何かが混ざりあって、最後のステージでは感動してしまうのだ。
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