「駄目だ、これは泣ける」僕たちのラストステージ 森のエテコウさんの映画レビュー(感想・評価)
駄目だ、これは泣ける
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愛と友情と思いやりのパートナーシップにやられた。
ボードビル全盛期に活躍したお笑いコンビの友情と絆が、’30年代と’50年代を舞台に描かれる。
前半は淡々とした語り口で、二人のコントも今の時代ではそれほど笑えぬインパクト。
それでも、8時だよ全員集合の下敷きかと思われるような笑いの形が感じられる。
時代の流れとともに、ショーから映画、そしてテレビに大衆の娯楽は移り変わり、映画の出演さえ難しくなったコンビは、大西洋を渡った英国でのツアーで復活を目指す。
初めはまばらだった観客。しかし、ツアーが進むにつれ英国各地で往年のファンに迎えられる。
やがてお互いの長年のわだかまりが浮き彫りになるが、一人の病気の発症を機に二人の絆が取り戻され、生涯無二の相棒となる。
それぞれの妻との愛情、妻同士の友情、そして二人の友情を越えた愛情。
ドラマの後半は、4人が織りなす思いやりに満ちたパートナーシップを丁寧に描き出し、引き際の美学とともに観るもののハートを静かに徐々に大きく揺さぶっていく。気がつくと、お笑いの場面にもかかわらず、まさかの目から汗が止まらない。
人生の折り返し点を過ぎている自分にとっては、空いた客席と持参のハンカチが有り難かった、平日朝一の鑑賞だった。
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