英雄は嘘がお好きのレビュー・感想・評価
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ジャン・デュジャルダンとメラニー・ロランの魅力全開
舞台は1800年代のフランス。ナポレオンの頃。
口が上手くて調子が良い、腑抜けだけれど人を惹きつける大尉を演じるのはジャン・デュジャルダン。
ちょっと気が強い、自立した女性のメラニー・ロラン。
ポリーヌに求婚した直後に戦争に行ってしまった大尉。
エリザベスの懸念通り、戦争に行ったまま手紙も寄越さない。エリザベスは傷心のあまり病気になってしまった妹のため、偽りの彼の手紙を書き、最後には死んだことにする。
その後妹は別の男性と結婚し、子供もいる中で戻ってきた大尉。
街に戻ってきた時のその様子は誰だかわからないくらいに小汚い。
エリザベスが何とか大尉を街から出そうと画策する様子がコミカルに描かれる。
2人が結婚式で踊るシーン。メラニー・ロランが大尉を見つめる目が良かった。
結末も良かった。臆病者なのは変わらない、そんな大尉をなんだかんだで好きなのだろう。
それにしても、奔放な妹に振り回されるというのは結構多い気がする。
嘘から出た真?
途中までは如何にもフランスらしいドタバタのコメディ映画。ジャン・デュ・ジャルダンは小憎らしいし、メラニー・ロランは可愛らしい。それまで嘘で固めたジャルダンが初めて真実を語る、そこで二人はくっつくとは行かず、もう一段階あったかw まさか一人で立ち向かうとは。ラストの下りはいるかなぁ。。結局徴兵され、逃げる結末。もしかしたら、徴兵に来た兵士ごと、ジャルダンの仕込み?とも思ったけど違った。基本的に脱力して見れる。
まぁそんな感じかな
最初の二人のシーンから最後の展開までおおよそ検討がつきますが、そんなんで大尉と結婚までします?根っからの詐欺師ですぜぃ。
まぁ何も考えず軽く見れて、姉妹二人可愛いかったので星三つ
真面目に考えたら負け。
ペテン師夫婦誕生?それで終わり?と思ったらちょっと違ったけど。
大尉みたいな人は暑苦しくて好みではない。
妹ポリーヌえぐいなーておもたけど、姉もたいがいやし、かあちゃん父ちゃんも似たり寄ったり。
真面目に考えたら負けってゆう話。
逃げるが勝ち。
それでは皆さん御機嫌よう。
さらばじゃ。皆の衆。
右向け。右ぃーー!
もうね、このラストシーン、どう言い表せば良いの?思わず手を叩いてしまいそうになりました。兎に角最高w
そう言えば、すっかり忘れてました。クエンティン・タランティーノの「イングロリアス・バスターズ」。映画館をナチもろとも爆破するアレ。タランティーノの歴史捏造癖のアレ。メラニー・ロランって美少女役でしたよね、確か。が、今やキリリとした大人の女(美人さんは相変わらずです)に成長してる。昨年末はキアヌ・リーヴスとウィノナ・ライダーのマシンガン口撃ムービーにニヤニヤ。今年はジャン・ジュダルランとメラニー・ロラン。狙ってますよね。クリスマス前後に、大人の恋的なものをネタにしたコメディ。もう、これコメディとしては満点でした。
コサックの侵攻を食い止めるためにブルゴーニュ入りした大隊の将軍を前に、ウソを付き通すことはできないとあきらめたヌヴィルは、戦闘からの敗走、部隊が殲滅されていく場面を、ここだけマジに語り始めます。子供っぽい復讐のための策略がヌヴィルにとっては命の危機であることを聞かされたエリザベットは、良心の呵責か、はたまた実はヌヴィルに恋心を抱いていたのか。ここが、おフランス的にぼかされてたりする印象ですが。戦争の最前線の悲惨さについての語りは、この映画で唯一、心を引っ掻く場面。
この後、コサック(当時は帝政ロシアの体制に組み入れられていたので、正確にはロシアの先鋒隊と推測)の襲撃に1人で立ち向かう場面とか、カッコいいやんか!で、思いっきりクソ野郎だったヌヴィルの評価が一転して高騰するも、横一列で突進してくるコサックを撃退できるはずも無く。あーこれまでよ!と思いきや。ヌヴィルが語っていた法螺話通りに、援軍が現れて大砲ぶっ放してコサック撃退。エリザベットの恋心にも火がついた、と来たもんだ。
エリザベットとビジネス・パートナー契約を結び、マルチ商法を展開して行くかと思いきや。ヌヴィル大尉の元に戦線への招集が掛かりお迎えも来て万事休す。が、休しない。送迎兵士とは反対方向に馬で走り去って、おっしまい。続かない。と言うか、何なのこの男。ウソツキで、無責任で、ドスケベ。それって、ある意味、英雄的ではあるけれど、確かに、憧れるからね。
もうテンポ早いし、容赦ないし、人物の人格描写はメリハリあって期待通りのセリフを次々吐くし。判りやすくて楽しかった。メラニー・ロラン、髪はアップの方が絶対に綺麗です。
楽しかった!とっても!
ユーモア
面白かった。
優しい嘘がもたらす後日談のような感じで楽しく観れた。
中世のお話で、今の世の中では起こり得ないような話なのだが、人間の素朴さのようなものにも出会える。
楽しかったのは、やはり人の造詣だ。
主人公の女性が、無表情でありながら雄弁に物語を動かしていく。清楚で品位があり、気をてらう事も、面白い事も言わない。
だが、絶大なコメディエンヌ振りを発揮してくれる。
初登場はお相手への毒舌から始まる。何故にこれまでの嫌悪感を表すのかと首をひねる程だ。でも、これこそが布石で、後に展開されるラブストーリーを彩ってくれる。
主人公の男性のダメっぽさは相当なのだけれど、貴族であり紳士たらんとする振る舞いに、社会での、処世術を感じたりする。
女性からどんな暴言を吐かれても怒らない。かわして擦り抜けて穏便に振る舞う。
誰に対しても恫喝するような事はなかった。ただ一つ、ラストに襲撃を受けた時は、1人矢面に立ち奮闘する。
逃げちゃいけない時には、逃げない。
シンプルなとこなのだけど、全篇通してさりげなく人柄を描写してくれる。
結末は勿論ハッピーエンド。
小粋な恋愛譚に仕上がっていた。
秀逸なのは、その恋愛を恋愛として描かなかったところ。主人公2人は顔を突き合わせれば揉める。甘ったるい言葉もない。
だけど女性の無自覚の恋心を、さりげなく匂わし観客の期待を煽る。
それにより、恋に落ちるプロセスを見ていくような構成になっている。
まるで少女漫画的なネタでもあるのだが、キラキラキャピキャピしてない分、おじさんには受け付けやすかった。
主演の女性の無表情のリアクションがツボ。
そして、それ自体を何事もなかったかのように振る舞う展開にジワる。
弥次郎
善意から手紙を偽造する姉はともかく、帰還した妹の婚約者があまりに鉄面皮で品性がなく、興を削ぐ。戦死したと思われていた夫(または恋人)が帰還して…という設定の映画は、「マリア・ブラウンの結婚」や「ある愛の風景」ほか多々あるが、そんな深刻な葛藤が起きるでもなく、ただただ座付き作家を得たお調子者のほら吹き談義が続く(そもそも尾羽打ち枯らしていた彼がどうやって大尉の軍服を入手したのだろう)。インドでの戦功の話などすぐ露見しそうなものだが。しまいにはネズミ講にまで手を染める始末。俗物ぞろいの連中を煙に巻くあたりは、ゴーゴリの「検察官」の味わいにも似ている。
メラニー・ロランは相変わらず超絶美人だが、あんなにほくろがあったっけ。
嘘が真実に、真実が嘘に
個人的には大好きなタイプの映画。コメディ要素満載の中にも考えさせる、実感させられるところが好き。
嘘って重ねる辛さ、難しさはあるがそれが時として真実に変わり得ることもあるんだよね。
もちろんそれは信頼ある立場がある者への特権。
信頼のない立場の者や、弱い立場の者がどんなクオリティーの高い嘘をついても誰も耳を傾けてはくれない。逆に言えば時として真実の話でさえ耳を傾けてくれないこともあるだろう。
この作品のヌヴィル大尉のような、信頼があり強い立場にある者だからこそ嘘が上手いように周りを信じ込ませていく。
ただ、時には真実として己の弱さを認めて許しを求めてもその時は逆に嘘だと捉えられ流されてしまうところもまた、日頃嘘をつく事による足枷となるところが面白い。
そして最後は嘘から生まれた英雄が、窮地に立たされた時に自分を奮い立たせ、真実の英雄(スケールは小さいが)になるところもまた面白い。
結局最後はまた逃げるのも人間味あって面白かった。
まぁ結局のところは嘘はよくないのだが、嘘によって大多数の者が大きく傷つかないのがこの作品の面白いところ。そして相手の立場の強さだけで、その者の話を鵜呑みにし過ぎないとこらを改めて実感させられる。
お手軽に楽しむ、クラシカルなスクリューボール・コメディ
最近ではロマンティック・コメディはフランス映画に期待を抱いているところ。今回はちょっと変化球のロマンティック・コメディだったけれど、やっぱりフランスのロマコメは気分がいいなと思う。ジャン・デュジャルダンにメラニー・ロランという、日本でも名の知れたスター俳優の作品だというのもなんだか嬉しい。
内容としてはまさしく昔懐かしい古典的なスクリューボール・コメディと言った趣。意外やメラニー・ロランの喜劇演技がなかなか上手で良かったし、ジャン・デュジャルダンに真っ向から向き合って二人が喜劇演技をぶつけ合っているのもすごく良かった。そうやって男女がじゃれ合っていてこその、ロマンティック・コメディだしスクリューボール・コメディですもの。また妹のポリーヌがすごくいい味が出ていて、ノエミ・メルランのはっちゃけた演技で主演二人を超えてシーンスティーラーになっている側面さえあった。
とは言え、物語を真面目に見ると「嘘」の精度があまりにお粗末というか行き過ぎで、それに騙される者たちの姿の滑稽さを笑えるほどに面白いものでもなく、また個人的な印象としてデュジャルダン演じるヌヴィル大尉にチャームを感じ取れず(デュジャルダン自体は大好きだが)、彼が調子に乗って嘘を重ねていく様を楽しく見られる気持ちにはならなかったというところも否めなかった。
ロマンティック・コメディである以上はお決まりの結末も、なんだかしっくりくるような釈然としないような・・・。二人の関係性からしたらもっとイザコザしてもいいし、もっと激しく対立しあってもいいし、もっと巧みに「嘘」を利用した頭脳戦を繰り広げてもいいようなところ、案外甘ったるく片付いたな、という気もしないでもなかった。
でも肩の力を抜いて、気持ちのいい映画を見たいときにはちょうどいい映画だと思ったし、そういう映画を見たいと思って選んだ作品だったので、見終わった後の気分は爽やかだった。
姉ちゃん何で独身なん?
19世紀のフランスの事情はよく分からんけど、貴族なのかな?定職に就いてる様には見えなかったが、金銭には苦労していない感じのヒロイン(美人)。
ある程度賢く、作中では唯一の常識人。妹は脳みそお花畑だし、両親は疑うことを知らないのかと思うほど能天気。奉公人はまだマシだが基本カカシ。
そんなヒロインが独身であることが特に説明されなかったことと(見合いは全て断っているらしいことは語られたが)、大尉の人間的、男性的な魅力が全く伝わってこなかったのがマイナス。
それ以外は御都合主義が多くても気にならないオシャレなコメディ映画。
上映時間的には充分な内容だが、費用対効果は悪い。
笑いに乗せた人生謳歌
来た来た、これぞフレンチコメディ!
男は女に滅法弱く、格好つけながらも情けない。女は気高く欲張りで逞しい。何よりもまずは色恋、たっぷりのエスプリと軽妙な会話、どんな時にも洒落を忘れず、人生への温かく愛情に満ちた眼差し。
このテイスト、大好きだ。
倫理的なツッコミは野暮だろう。登場人物は皆どこかしら弱く欠点だらけ、しかし人間味溢れて憎めない。ドタバタの展開をオロオロと右往左往し、駄目駄目のまま、結局なんとなく鞘に収まってハッピーな雰囲気…。
あーあー、と苦笑しながら、何故かほっと肩の力が抜けるような気がするから不思議だ。最後まで往生際悪く逃げ回るヌヴィル。あかんコイツ絶対更正しないよな…と嘆息しつつ、全く実の無い結末なのに、何だかとても安心してしまった。
英雄にも、才色兼備にも、聖人君子にもなれないけれど、ちょっとばかり頑張ったりする事もあるよ。そんな感じで生きてけりゃ上等じゃない?ニヤリとセクシーで温かい笑みと共に、バンパンッと背中を叩いて貰ったような。
役者陣の嵌まり具合が素晴らしい。特に主役の二人。コミカルに軽快に、外連味たっぷりなのに嫌みのない、絶妙なバランスの演技を見せている。
ジャン・デュジャルダンの、いかにもフランス紳士な風貌。ちょいポッチャリめなオジサン体型なのにキメればセクシーで格好良く、情けない時はとことん情けない。ヘコむ姿もちょっと可愛い。
賢く行動力に長け、男相手でも一歩も引かないメラニー・ロラン。辛辣だがそこここに見える思いやりの深さ、自立心の強さと機転に富んだ立ち回りが魅力的だ。ヌヴィルの悪びれない嘘八百に、はあぁ!?と呆れ返る表情が絶品だった。
伏線や予定調和が予測した所にピタッと作用してくる構成もいい。戯曲的な話の場合、奇をてらうより、お約束が決まる方が気持ちいい場合もある。嘘から出たまこと。OPとEDのなぞらえ。
普段割と長い映画でも苦にならず見るので、90分という尺は短いようにも思ったけれど、コメディ映画はこの位でテンポ良く、飽きたり粗が気になったりし始める前にサクッと終わるのが丁度良いのかも知れない。
エリザベットとヌヴィルの関係は果たして恋かな?不誠実さも狡さも弱さも知りながら、しょうがねーなー、悪いヤツじゃないし助けてやんなきゃ、の女。繕わない自分を正面から受け止め、時に叱り飛ばしてくれる得難い相手を失いたくない男。
パートナー5割、母性3割、ときめき2割位の関係?(笑)
まあそんなんもいいんじゃない?。くっつき離れ、逃げ立ち向かい、泣き笑いながら、弱く強く、人間らしく。
ちょっぴり気持ちと足取りを軽くしてくれる、上質のコメディ作品だった。
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