英雄は嘘がお好きのレビュー・感想・評価
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【”フランス人はエスプリの効いた嘘がお好き!”】
ー このような作品をご都合主義とか、言ってはいけないと思う。ー ・エリザベスとヌヴィル大尉のやり取りにクスリと笑い、大尉の最後の行動に少し涙し、最後は気持ちよく騙される。 ・フランスの小粋なコメディの小品。 <ジャン・デュジャルダンとメラニ-・ロランが実に楽しげに演じる姿も微笑ましい作品である。>
弥次郎
善意から手紙を偽造する姉はともかく、帰還した妹の婚約者があまりに鉄面皮で品性がなく、興を削ぐ。戦死したと思われていた夫(または恋人)が帰還して…という設定の映画は、「マリア・ブラウンの結婚」や「ある愛の風景」ほか多々あるが、そんな深刻な葛藤が起きるでもなく、ただただ座付き作家を得たお調子者のほら吹き談義が続く(そもそも尾羽打ち枯らしていた彼がどうやって大尉の軍服を入手したのだろう)。インドでの戦功の話などすぐ露見しそうなものだが。しまいにはネズミ講にまで手を染める始末。俗物ぞろいの連中を煙に巻くあたりは、ゴーゴリの「検察官」の味わいにも似ている。
メラニー・ロランは相変わらず超絶美人だが、あんなにほくろがあったっけ。
笑劇でした
最初から最後まで小笑いが止まらず・・ しかめっ面で表情が変わらなかったエリザベットが「嘘も恋もお好きで得意な英雄」に 心引かれマドモアゼルな笑顔になっていく姿が何とも微笑ましかったです 場面、場面にぴったり合う大袈裟過ぎない音楽も実に心地良かった🎵 肩の力を抜いて楽しめるライトな大人のフレンチコメディでした!
予想以上のフランスラブコメの面白さに脱帽
フランス映画のイメージは恋愛、タクシーシリーズのようなアクションが多い印象、イメージがありフランス版歴史ラブコメは初めて観たが予想以上に面白かった。19世紀のフランスででっちあげた武勇伝と戦死の知らせでヌヴィルは街の英雄になるが、三年後、状況を知らないまま本人が突然還ってくる。良家の子女エリザベットは妹の恋人ヌヴィルと結婚させたくないために嘘の手紙を送る。この後も嘘の武勇伝を語るヌヴィルと彼の嘘を見抜いている エリザベットのコント、漫才かと思わせるぐらいのやり取りが面白かった。エンディングのオチもヌヴィルらしく思わず苦笑してしまうぐらい楽しいラブコメ。フランス映画のラブコメもなかなか。夫婦関係や恋愛関係にストレスを感じているフランス映画ファンの女性の方にお薦めします。ただし、夫や彼氏は外して1人で鑑賞した方が胸がスカッとすると思います。
嘘が真実に、真実が嘘に
個人的には大好きなタイプの映画。コメディ要素満載の中にも考えさせる、実感させられるところが好き。
嘘って重ねる辛さ、難しさはあるがそれが時として真実に変わり得ることもあるんだよね。
もちろんそれは信頼ある立場がある者への特権。
信頼のない立場の者や、弱い立場の者がどんなクオリティーの高い嘘をついても誰も耳を傾けてはくれない。逆に言えば時として真実の話でさえ耳を傾けてくれないこともあるだろう。
この作品のヌヴィル大尉のような、信頼があり強い立場にある者だからこそ嘘が上手いように周りを信じ込ませていく。
ただ、時には真実として己の弱さを認めて許しを求めてもその時は逆に嘘だと捉えられ流されてしまうところもまた、日頃嘘をつく事による足枷となるところが面白い。
そして最後は嘘から生まれた英雄が、窮地に立たされた時に自分を奮い立たせ、真実の英雄(スケールは小さいが)になるところもまた面白い。
結局最後はまた逃げるのも人間味あって面白かった。
まぁ結局のところは嘘はよくないのだが、嘘によって大多数の者が大きく傷つかないのがこの作品の面白いところ。そして相手の立場の強さだけで、その者の話を鵜呑みにし過ぎないとこらを改めて実感させられる。
お手軽に楽しむ、クラシカルなスクリューボール・コメディ
最近ではロマンティック・コメディはフランス映画に期待を抱いているところ。今回はちょっと変化球のロマンティック・コメディだったけれど、やっぱりフランスのロマコメは気分がいいなと思う。ジャン・デュジャルダンにメラニー・ロランという、日本でも名の知れたスター俳優の作品だというのもなんだか嬉しい。
内容としてはまさしく昔懐かしい古典的なスクリューボール・コメディと言った趣。意外やメラニー・ロランの喜劇演技がなかなか上手で良かったし、ジャン・デュジャルダンに真っ向から向き合って二人が喜劇演技をぶつけ合っているのもすごく良かった。そうやって男女がじゃれ合っていてこその、ロマンティック・コメディだしスクリューボール・コメディですもの。また妹のポリーヌがすごくいい味が出ていて、ノエミ・メルランのはっちゃけた演技で主演二人を超えてシーンスティーラーになっている側面さえあった。
とは言え、物語を真面目に見ると「嘘」の精度があまりにお粗末というか行き過ぎで、それに騙される者たちの姿の滑稽さを笑えるほどに面白いものでもなく、また個人的な印象としてデュジャルダン演じるヌヴィル大尉にチャームを感じ取れず(デュジャルダン自体は大好きだが)、彼が調子に乗って嘘を重ねていく様を楽しく見られる気持ちにはならなかったというところも否めなかった。
ロマンティック・コメディである以上はお決まりの結末も、なんだかしっくりくるような釈然としないような・・・。二人の関係性からしたらもっとイザコザしてもいいし、もっと激しく対立しあってもいいし、もっと巧みに「嘘」を利用した頭脳戦を繰り広げてもいいようなところ、案外甘ったるく片付いたな、という気もしないでもなかった。
でも肩の力を抜いて、気持ちのいい映画を見たいときにはちょうどいい映画だと思ったし、そういう映画を見たいと思って選んだ作品だったので、見終わった後の気分は爽やかだった。
コメディはお好きなんですが…
シラノ・ド・ベルジュラックみたいなお話しだけど、死んだことになっている大尉が帰ってきてからのドタバタが本題です。でも、ストーリー展開が強引で、主人公に絡む女性の心境の変化がどうもピンとこないし、リアクションも貴族の令嬢に見えず騒々しいだけでちっとも笑えませんでした。結局、ジャン・デュジャルダンが演じる無責任男のキャラでなんとかしのいだ感じですが、あんまり感情移入できず、全体的に今ひとつ。
姉ちゃん何で独身なん?
19世紀のフランスの事情はよく分からんけど、貴族なのかな?定職に就いてる様には見えなかったが、金銭には苦労していない感じのヒロイン(美人)。
ある程度賢く、作中では唯一の常識人。妹は脳みそお花畑だし、両親は疑うことを知らないのかと思うほど能天気。奉公人はまだマシだが基本カカシ。
そんなヒロインが独身であることが特に説明されなかったことと(見合いは全て断っているらしいことは語られたが)、大尉の人間的、男性的な魅力が全く伝わってこなかったのがマイナス。
それ以外は御都合主義が多くても気にならないオシャレなコメディ映画。
上映時間的には充分な内容だが、費用対効果は悪い。
古典的
147本目。 始は分かり易くベタ、いや古典的。 世界共通な感じで落語にありそうな話。 でも一本調子で30分位で飽きてくる。 結構ウケてたけどゲラの客がね。 笑うのは構わないけど、笑い方が不快。 自分じゃ気付かない悲しさ。 笑うだけ笑ったらエンドロールと同時にとっとと去ってた。
笑いに乗せた人生謳歌
来た来た、これぞフレンチコメディ!
男は女に滅法弱く、格好つけながらも情けない。女は気高く欲張りで逞しい。何よりもまずは色恋、たっぷりのエスプリと軽妙な会話、どんな時にも洒落を忘れず、人生への温かく愛情に満ちた眼差し。
このテイスト、大好きだ。
倫理的なツッコミは野暮だろう。登場人物は皆どこかしら弱く欠点だらけ、しかし人間味溢れて憎めない。ドタバタの展開をオロオロと右往左往し、駄目駄目のまま、結局なんとなく鞘に収まってハッピーな雰囲気…。
あーあー、と苦笑しながら、何故かほっと肩の力が抜けるような気がするから不思議だ。最後まで往生際悪く逃げ回るヌヴィル。あかんコイツ絶対更正しないよな…と嘆息しつつ、全く実の無い結末なのに、何だかとても安心してしまった。
英雄にも、才色兼備にも、聖人君子にもなれないけれど、ちょっとばかり頑張ったりする事もあるよ。そんな感じで生きてけりゃ上等じゃない?ニヤリとセクシーで温かい笑みと共に、バンパンッと背中を叩いて貰ったような。
役者陣の嵌まり具合が素晴らしい。特に主役の二人。コミカルに軽快に、外連味たっぷりなのに嫌みのない、絶妙なバランスの演技を見せている。
ジャン・デュジャルダンの、いかにもフランス紳士な風貌。ちょいポッチャリめなオジサン体型なのにキメればセクシーで格好良く、情けない時はとことん情けない。ヘコむ姿もちょっと可愛い。
賢く行動力に長け、男相手でも一歩も引かないメラニー・ロラン。辛辣だがそこここに見える思いやりの深さ、自立心の強さと機転に富んだ立ち回りが魅力的だ。ヌヴィルの悪びれない嘘八百に、はあぁ!?と呆れ返る表情が絶品だった。
伏線や予定調和が予測した所にピタッと作用してくる構成もいい。戯曲的な話の場合、奇をてらうより、お約束が決まる方が気持ちいい場合もある。嘘から出たまこと。OPとEDのなぞらえ。
普段割と長い映画でも苦にならず見るので、90分という尺は短いようにも思ったけれど、コメディ映画はこの位でテンポ良く、飽きたり粗が気になったりし始める前にサクッと終わるのが丁度良いのかも知れない。
エリザベットとヌヴィルの関係は果たして恋かな?不誠実さも狡さも弱さも知りながら、しょうがねーなー、悪いヤツじゃないし助けてやんなきゃ、の女。繕わない自分を正面から受け止め、時に叱り飛ばしてくれる得難い相手を失いたくない男。
パートナー5割、母性3割、ときめき2割位の関係?(笑)
まあそんなんもいいんじゃない?。くっつき離れ、逃げ立ち向かい、泣き笑いながら、弱く強く、人間らしく。
ちょっぴり気持ちと足取りを軽くしてくれる、上質のコメディ作品だった。
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