「ユーモア」英雄は嘘がお好き U-3153さんの映画レビュー(感想・評価)
ユーモア
面白かった。
優しい嘘がもたらす後日談のような感じで楽しく観れた。
中世のお話で、今の世の中では起こり得ないような話なのだが、人間の素朴さのようなものにも出会える。
楽しかったのは、やはり人の造詣だ。
主人公の女性が、無表情でありながら雄弁に物語を動かしていく。清楚で品位があり、気をてらう事も、面白い事も言わない。
だが、絶大なコメディエンヌ振りを発揮してくれる。
初登場はお相手への毒舌から始まる。何故にこれまでの嫌悪感を表すのかと首をひねる程だ。でも、これこそが布石で、後に展開されるラブストーリーを彩ってくれる。
主人公の男性のダメっぽさは相当なのだけれど、貴族であり紳士たらんとする振る舞いに、社会での、処世術を感じたりする。
女性からどんな暴言を吐かれても怒らない。かわして擦り抜けて穏便に振る舞う。
誰に対しても恫喝するような事はなかった。ただ一つ、ラストに襲撃を受けた時は、1人矢面に立ち奮闘する。
逃げちゃいけない時には、逃げない。
シンプルなとこなのだけど、全篇通してさりげなく人柄を描写してくれる。
結末は勿論ハッピーエンド。
小粋な恋愛譚に仕上がっていた。
秀逸なのは、その恋愛を恋愛として描かなかったところ。主人公2人は顔を突き合わせれば揉める。甘ったるい言葉もない。
だけど女性の無自覚の恋心を、さりげなく匂わし観客の期待を煽る。
それにより、恋に落ちるプロセスを見ていくような構成になっている。
まるで少女漫画的なネタでもあるのだが、キラキラキャピキャピしてない分、おじさんには受け付けやすかった。
主演の女性の無表情のリアクションがツボ。
そして、それ自体を何事もなかったかのように振る舞う展開にジワる。