「早くも続編に期待」グリザイア:ファントムトリガー THE ANIMATION カブラギさんの映画レビュー(感想・評価)
早くも続編に期待
まずアバンからいきなり殴る、撃つ、また殴る。
目の前で人が死んでいても、それが自ら手を下した相手でも、何でもない日常のことのように平然としている少女たち。
冒頭の数分だけで世界観の異常性が伝わってきます。
本来はじっくりとした説明シーンやキャラクターの掘り下げが強みの原作シリーズですが、ゲームとアニメの媒体の違いがしっかり意識され、全く別物の表現になっています。原作のストーリーを既に知っていても退屈することはまずないでしょう。
もちろん初見の方も、あるいは前回作を一切知らない方でも、この最初の数分で『グリザイア』の世界観に引き込まれること間違いなしです。
そして衝撃的な開幕からシーンが1つ切り替われば、少女たちは穏やかな日常を生きる「普通の」顔を見せるようになります。
一人一人教室で自己紹介するところなどはどこか古典的なものがありますが、時々ミリタリーなワードが入ってくること以外は「普通の学園モノ」のワンシーンにしか見えないことでしょう。
1話目の流れに代表されるような、任務中の極限の緊張感と日常の穏やかさ(時々ギャグ要素も)が紙一重のところで同居しているのがこのシリーズの特徴ですが、今回の劇場版は切り替わりのテンポが特に速い印象でした。時間的な制約が表現の鋭さを尖らせる方向に作用していて、一瞬も目が離せない作品になっています。
また音響への拘り、迫力も凄まじいです。当方ミリタリー方面の知識は今一つですが、銃の種類によって音が違うのが否が応にも聞き分けられるほどです(もちろん褒めています)。銃声だけでなく殴打シーンの音も生々しく、どちらもお腹にガンガンと響いてくるようでした。
原作からストーリー面の大幅な改変はありませんでした。今回は原作1,2巻がそれぞれ1,2話に相当しているようなので、恐らくまだ続編があることかと思われますが、3話以降が劇場で見られるのが楽しみでなりません。
アニメが初見の方の場合は、原作3巻以降を購入すればすぐにアニメのお話の続きが読めます。また、原作1,2巻では、アニメで若干分かり辛い部分もあったキャラクターの行動原理や性格がかなり細かい部分まで描写されています。原作→アニメとアニメ→原作、どちらの順番でも楽しめるのがこのシリーズの良いところだと思います。