「過去と今を繋ぐ最恐の村」犬鳴村 しゅうへいさんの映画レビュー(感想・評価)
過去と今を繋ぐ最恐の村
"実録!恐怖の村シリーズ" 第1作。
通常スクリーンで鑑賞(レイトショー)。
ノベライズは未読。
心霊スポットには詳しくないので、犬鳴村に関しては知識ゼロ。本作についてはノーマークだったので予告編さえ観ず、あらすじも調べないまま映画館へ足を運ぶことになりました。
正直、怖くなかったです。むしろ、本作とコラボしたお化け屋敷の方が怖かった(上映開始まで時間があったので先にお化け屋敷の方へ行ったのですが、本作を観たことでそこで起きた怪異の数々の答え合わせが出来ました)。
何故そんなに怖くなかったのか。オーソドックスな恐怖演出のために、アングルや展開から起こることが簡単に予測出来てしまい、事前に身構えられたからでした。
物語にのめり込めなかったのも原因じゃないかな、と…。と云うのも、犬鳴村の謎について、冒頭辺りで「なんだ、そう云うことか」と分かってしまったからです。
分かった時点で気持ちが冷めてしまいました。上記のように怖くはないし、どうしたらいいのかとなんだかぐったり…
その他、イマイチだと感じた点を徒然なるままに…
その1、奏が幽霊の腕を掴んで普通に会話を始めたこと。
その2、幽霊と行動を共にしたことで、奏がいとも簡単に犬鳴村の秘密に肉薄してしまったこと。
その3、亡霊たちがゾンビにしか見えなかったこと。
その4、奏の母親があっさり回復していたこと。…
ここまで、微妙だった点を書き連ねましたが、ここからはラストの、ある種ファンタジックな展開について観賞後に思ったり考えたことをつらつらと述べていきます。
これって最終的に、かなりえげつない呪いなんじゃないかなと思いました。己の中に流れる血からは、誰も逃れることが出来ません。「犬鳴村の血脈を絶やすな!」と言われ、生まれたばかりの赤ん坊を母親の元から無理矢理引き離す形で、自分たちの祖父になる男の子の家に届けてしまった奏たち。
そのせいで、忌まわしき「犬殺しの血」が森田家に混ざることになってしまいました。一度混ざってしまったら消し去ることは不可能。しかもそのことがあったおかげで、今の自分たちがいる。奏は感謝しているようでしたが「そんなにありがたいことではないんじゃないの?」と思いました。
森田家だけでなく、犬鳴村の血脈は密かにその種を撒いていたようですし。過去・現在・未来―全て呪ってやると云う凄まじき執念の業と考えると怖気が走りました。テクニック的な怖さじゃなくて、根底に潜んでいた恐怖に戦慄しました。
※修正(2024/06/28)