「ポスターが遠目に見ると人の顔」犬鳴村 callさんの映画レビュー(感想・評価)
ポスターが遠目に見ると人の顔
感想は前半と後半で大きく異なります。
前半はひたすらに怖い、何が怖いかというと雰囲気そのものが怖い。
冒頭に出てくるねーちゃんの無意味な突撃力から始まって、
カメラの端々に浮かぶ霊現象(?)は凄まじく恐怖を掻き立ててくれます。
意味深な父親の言動と母親の行動、やぶれかぶれになっている兄、好奇心からやってはいけないことをした兄の彼女、
好奇心からやってはいけないことをやろうとしている弟、
血脈に伝わる謎の因果、患者の少年とその母の、、、などなど。
ホラー映画として史上最高といってもいいほどの起・承シーンです。
しかし後半になると雰囲気が一変します。
明らかに何かを言いたくて姿を見せる霊魂の腕をつかんで(!)ひきとめ、
記録映像を見せられ(霊?え、霊!?)、とりあえず人を殺しておけといわんばりに雑に殺られるモブ、
結局、その呪いは村人のモノなのか、イヌのモノなのかどっちつかず。
ホラー映画で謎解きも解決も求めてはいないのですが、
中途半端に謎を解明させてしまったがために余計に後味はすっきりしません。
さらにはわんわんダンス、、、あのダンスシーン必要でした???
これがジャパニーズホラーだと言わんばかりにものすごく良質な前半パート(文句なく★5)と、
何をしようとしているのかよくわからない後半シーン(★2くらい...)。
評価が両極端に分かれてしまうのも納得します。
ところで映画館の中で「ひっ」と声をあげてしまったシーンが三つあります。
・特に鉄塔の上からかかってくる電話の「今から行くね」のシーン。
・そのしばらく後、車で帰る途中のシーンからそこを通りがかるまでの一連のシーン。
・ラストの「本物の犬鳴トンネルの風景」のシーン。
ラストは「うわ、本物だ」と思った後、
何故、自分は行ったこともないこの風景が本物だと知っているのか、と言う記憶から恐怖を味わいました。
この三か所はホラーとして本当に上質だと思います。
あ、本物を知っていた理由はイナジュンのDVDでした。