劇場公開日 2019年3月2日

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「劇映画だからこそ描くことのできた、人々の心の内側」ハッピーアイランド ぐうたらさんの映画レビュー(感想・評価)

4.0劇映画だからこそ描くことのできた、人々の心の内側

2019年2月27日
PCから投稿

この作品には、日本人として知っておくべきことが詰まっている。すなわち、福島で農業を営んでいる人たちは、今どのような思いを胸に野菜を生産しておられるのか、ということだ。この疑問に対する一つの答えとして、本作は実に多くの示唆を投げかけてくれる。愛情を込めて育てた野菜に自信を持つ一方、多くの悔しさや歯がゆさも体験してこられたはず。これはドキュメンタリーではないが、劇映画にしかできない手法を用いて人々のリアルな心の内側を描き出している。その点において、今の日本でなかなかお目にかかれない稀有な作品と言えるだろう。

また本作は何かの思いを観客に無理強いしたり、啓蒙するようなことはしない。あくまで都会からやってきた一人の若者がこの地での農業体験を通じて、様々な思いを体験して、また一段、大人への階段を登るという普遍的なストーリーとして仕上がっている点も素晴らしい。是非多くの方に観ていただきたい力作だ。

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牛津厚信