「困難な状況にある少年(・少女)の物語? 倍賞美津子のラストでの一言が救い」天気の子 joさんの映画レビュー(感想・評価)
困難な状況にある少年(・少女)の物語? 倍賞美津子のラストでの一言が救い
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自分には、帆高が「自分を売って心身を削っている陽菜のヒモをしている未熟な少年」の隠喩にしか見えてこず…。結果、ごめんなさい。「これ、少なくとも『純愛物語』として読まれるように表現しちゃあかんやろ!」と、かなり最後の方まで、うまく波に乗れませんでした。
でも、そんな私にも、事が起きた後の倍賞千恵子の「東京のあの辺はさ、もともと海だったんだよ。……だからまぁ、元に戻っただけだわ。なんて思ったりもするね」の一言に一瞬、救われました。なぜなら、「困難な状況にある少年・少女が、たとえそのままの自分でも、周りの環境が変わったり、自身の見方が変わるだけで、まるで世界の見え方や自分の生きづらさが変わってくる。ああ。この映画は、その心象風景を描いたものであり、困難な状況にある少年・少女にエールを送っているのかも」と思えたからです。
でも、それが映画の主題になり切るわけでもなく、小栗旬の「お前たちが原因でこうなった? 自分たちが世界の形を変えちまった? んなわけねーだろ。ばーか。」の一言で、すかされてしまったし……。それに、「少年」に救いを与えるには、「少女」をあまりにも傷つけすぎだし女神視しすぎな感も。とはいえ、見返せばまた見方が変わってくるかもしれないので、何度か見返してみたい作品ではあります。いずれにせよ、自分が大学生の頃にさんざん乗った東海汽船と竹芝桟橋の描写には興奮しました。
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