「3回も見てしまった」天気の子 たゐきさんの映画レビュー(感想・評価)
3回も見てしまった
「君の名は。」で有名になる前から新海さんの作品が好きでよく見てました。鑑賞前は正直なところ期待はしていませんでした。前作のヒットでハードルが上がってしまった、賛否が分かれると聞いたので今回は1回見れば十分かなと思っていました。予告編みても天気で2時間もやるのか?陽菜がいなくなるの?といった感じでした。
ところが初めて見終わった後、帰りの車の運転が危なくなるほど重たい余韻とモヤモヤした感覚に襲われました。新海さんの作品はこういったモヤモヤ感が残るような作品が多いことが特徴的ですが、今回は過去一番でした。鑑賞後すぐに小説を購入し、映画では語られなかった部分を知り補填した後日、2回目で泣いてしまいました。今まで映画館で見てきて人生で感動して涙を流したのは今作が初めてでした。
個人的涙が止まらなかった場面は、帆高が「陽菜さんのところに、行かせてくれよ!」と言って上に向かって発砲した後からです。多くの人たちは陽菜が天に昇っていく夢を見たはずなのに知らないふりをして目を背けている。でも帆高だけはそれを認めず、前を向いていた。そのことに気づかされた須賀さんに共感し涙しました。私にとっても忘れていた大切なことを思い出せてくれた重要なシーンです。
もう一つはラストシーンです。もう晴れ女ではない陽菜が変わってしまった街を望みながら祈る姿は涙が止まらなかったです。1日もやむことのない雨の中、毎日祈っていたことを想像すると胸が苦しくなります。
今の世の中も良くするも悪くするも私たち次第ということを忘れてはならない、といった意味も感じ取れました。自分の過去と一部重なる部分があったこともあり心に響く作品でした。RADWIMPSさんの音楽も以前よりストリングスが増えて鳥肌がたちました。そして「天気の子」発表当時から気になっていた英題"Weathering With You"。あなたと共に困難を乗り越える。この作品に込められていました。さらに深く知りたい方には「天気の子」展へ行くことをおすすめします。
この作品は現実主義な人には向かないので低評価も頷けます。
現実的なことよりも人を思いやる、一途な人には響く作品です。