「愛を貫いたことの正しさ、美しさ」天気の子 水津◢ ◤さんの映画レビュー(感想・評価)
愛を貫いたことの正しさ、美しさ
『君の名は。』よりはタイムスリップとか入れ替わりみたいな複雑な要素がなく、綺麗にまとまっていて観やすかったです。また、前作よりも会話や流れのテンポが上がっているように感じて、気持ち良く観ることができました。絵は圧巻の美しさで、曲も不自然なものは無く映画とよくマッチしていたと思います。話の流れは大体予想できるものだったので後は終わり方がどうなるのかということをワクワクしながら観ていました。結論からして私はあの終わり方が最善だったと思います。これはトロッコ問題によく似ていて、陽菜と街の人々の暮らしのどちらをとるのかというのがEDの分岐点になっています。私はどちらをとっても正解だと思います。帆高は陽菜を選んだというだけで、別に何も解決しない(雨が一生やまない)としてもそれは正解の選択肢だったのです。だから何も解決しないことが間違っている、意味が分からない終わり方だというのはすごくナンセンスな意見だと私は思います。帆高の「陽菜と一緒にいたい」という真っ直ぐな気持ちのもと走り出す様は私の心を強く打ちました。その意志の強さは我々もアニメのキャラとはいえ、見習わなければならないと思います。一つだけ不明瞭な点があるとすればなぜ拳銃がばら撒かれているという設定があったのかという点です。大人に対抗するための武器を帆高に与えたかったということだけが理由では無いようには思いました。しかし社会の黒さを表す象徴だとしたらちょっとオーバーかな…?とも思いますし、そこだけがもやもやではあります。でもそれを差し引いても良い作品だと思います。
「それでもなおしがみつく」帆高と陽菜は私には綺麗に思えました。