「「ふーん、で?」となるので、細かな点はつっこんではいけない。」天気の子 1799さんの映画レビュー(感想・評価)
「ふーん、で?」となるので、細かな点はつっこんではいけない。
見終わった感想は、「ふーん、え、だから?」。
正直、主人公ふたりに感情移入できなかったので、特に後半からはただただ「ふーん」となってしまった。3年以上降り続く雨のせいで東京が水没したシーンもギャグに見えてしまった。それは、私の心が大人になって汚れているからかもしれない……。
そもそも主人公のほだかくんが家出した理由が謎。行方不明届が出されていても帰りたくないとは、よっぽどの理由があって家出したのだろう。しかし、いろいろあった挙句、警察に捕まって島に帰ったあと、「意外と普通の生活だった」のようなナレーションがあったため、余計に「早く家に帰ればよかったのでは…?」と思ってしまった。
16歳前後で家出したことのある人、家出したいと思ってことがある人なら、ほだかくんの心情に寄り添えるのだろうか。少なくとも私はほだかというキャラクターに好感を持てなかった。
それは、今作のヒロインしかり。3日連続マックに来ていたほだかにバーガーを差し入れするあたり、面倒見のよい性格なのだろうが、それが実は15歳で年下でしたって判明したところで「だから?」としかならなかった。その事実に対してほだかくんが感情的になっているシーンも、「おーおーわめくねえ」としか思わなかった。
『君の名は。』と違って展開は地味。しかし、演出はまったく同じ。いい感じのところで流れる、「どや感動するやろ?!」と言わんばかりにいい感じの歌詞のRADWIMPS。
前半のほだかくんが東京で生活するシーンや、晴れ女として活動するシーンなどをもう少しテンポよくして、もう少し具体的にキャラクターのバックボーンに触れていたら、感情移入した上で鑑賞できたかな…?
とりあえず、細かなところにつっこんで見てはいけない映画なのだ。『君の名は。』と同様に。「15歳の子どもが小学生の弟と2人だけで東京で暮らしていけるもん?」とか、「明らかにガキ3人やのにラブホ入れるもん?」とか、「16歳の思春期真っ只中でそんな世界より優先するほど誰か愛するの?」とかは、決して考えてはならないのだ。
賛否が分かれる中でも、「賛」の方のレビューは優れた洞察力で鑑賞されていて、そういう見方もあるのかと気づけて楽しい。ただ、それを踏まえてもう一回見たいとはならないかな。いかんせん映画を見ている時間が長く感じられてしまうから……上映中も座っていてお尻が痛くなった。
今回は、いろいろな人が制作に関わっていろいろこねくりまわした結果、いろいろな要素がごちゃごちゃになってしまった印象。ストーリーとしての軸はあるだろうけど、それ以外が複雑なので、さまざまな解釈や考察が生まれるのだろうなあと感じた。
ちなみに、上映前から話題になっていた本田翼は、そーつぉーどーりをはじめ、ところどころ滑舌があやしい箇所があったが、それほど悪くはなかった。むしろ、キャラとうまくマッチしていたように思う。本田翼は女優ではなく、声優として使うほうがよいのかも。肝心の表情や仕草といった演技は、画面の中のキャラが代行してくれるから……!