「全員が救われるなら無理矢理ハッピーエンドでもいいのか」天気の子 アサガオさんの映画レビュー(感想・評価)
全員が救われるなら無理矢理ハッピーエンドでもいいのか
君の名は。のような全員を救う為なら無理やりにでもハッピーエンドにするようなストーリーが嫌いだったのであまり期待はしてなかった。しかし、今作はかなり勝負しに来たなという感想を持った。
罪をこれでもかと犯す少年、それに影響されたように周りも世間的には間違ったことをやってのける。これを批判する層は間違いなくいるだろうがまず前提としてこの作品はフィクションだということを忘れないでほしい。もちろん作り話だからと言って何をやってもいいということではないがここを批判してしまっては今までに世に出てきたミステリー小説や名探偵少年はどうなるだろう。なぜあちらは批判されないのか。
次に「穂高くんが陽菜も世界も全部救えばいい」と言ってる人たちに問いたい。本当に映画見たか?
作中で老人が「代償がある」と言っていたのを聞いてたのか、もしくはそのシーンだけ寝ていたのか。今回の主人公は立花瀧のようなすべてを救える「超人主人公」ではない。実にガキっぽくくだらない考えで生きている16歳に全てを救え?エヴァでも見とけバーカとしか思わない。
何かを救うには何か代償が必要、この世界も誰かが幸せになる分誰かが不幸になっている。作中で言えば陽菜は救われたが須賀の娘は救われなかった。
これを描く新海誠に素直に感心した。「万人受けしないだろう」確かにその通り。結論しか見えないやつにこの作品の良さは分からない。
オタクは多分好きなストーリー。数々の伏線と考察ポイント、魅力的なキャラクター、きれいな背景に美しいBGM。そしてすこしひねくれたオチ。君の名は。が嫌いだった層は是非見に行ってほしい。
あと陽菜ちゃんかわいい
その万人ウケしないストーリー展開というのはいいとして、そこじゃないというか主人公やその他キャラクターのその行動にもっていくための説明不足感が否めないだけ。
細かい描写から紐解けば分かるという意見があるが、これがあまりに多く映画という媒体で考えるならば小説のように字を読んで想像しながら楽しむ媒体でもないため、映像の中でふんわりした描写でしか伝えず見る側の想像力に委ねすぎているのはどうなのか。
人の行動には理由がつきもの、
その行動をしたのはなぜなのか、
小説であればその心情が書いてあったり、それを裏付けるキッカケが必ずあるため想像できて面白い。
しかし、これはあくまで映画という媒体なのだから映画という媒体として展開していかなければならない。その展開にもっていくための過程が説明不足すぎるというのが賛否が生まれている原因なのかと。