「思い切った設定でしたね」天気の子 MATさんの映画レビュー(感想・評価)
思い切った設定でしたね
鑑賞当日はちょっと寝不足な上、レイトショーだったので途中眠くならないか心配でしたが、最後までしっかり楽しませてもらいました。
「君の名は。」同様に、超常現象を前提にシナリオが進んでいく点は同じですが、本作はその超常現象がヒロインに発動する必然性がイマイチ良く分からないことも含めて、主人公の2人が置かれたシチュエーションが説明不足のため、感情移入し辛い面がありました。(終盤、隣に座ってた人がハンカチで涙を拭っている風でしたが、いったいどこが泣けるのだろうと不思議に思ったほどです。私の感性が鈍いだけなのかもしれませんが)
そのためか、「君の名は。」の時に感じなかった「そんなワケないだろ」という思いが常にあり、次の展開が楽しみでどんどんのめりこむ・・・という感覚ではなかったです。
それでも、新海誠作品ならではの美しい映像はさすがでした。「言の葉の庭」でも感じましたが、新海誠作品で描かれる雨の映像は本当に天下一品ですね。
実はこの作品を見て、一番思い切ったなと思ったのは、ストーリーそのものというより、これほど注目度の高い作品でありながら、東京を豪雨で沈ませるようなネガティブな状況を描いたことでした。ここ数年毎年のように日本の各所で豪雨被害が発生している中、下手すると(敏感に反応する人たちが騒ぎ出して)上映自粛になりかねないような内容です。そんな状況に今年陥らないことを祈るばかりですが・・・。
とはいえ、単なるハッピーエンドにしないところが新海誠監督作品らしいところでしたね。すべてがうまくいって終わる方が一般受けするのでしょうが、今回のような設定にすることで強いメッセージを送ろうとしたのかもしれません。
「君の名は。」ほど万人に薦められる内容ではないように思いましたが、それでも一度は見るべき映画ではないでしょうか。