「暴力描写が悪目立ち・・・なぜか?」天気の子 やまちょう07さんの映画レビュー(感想・評価)
暴力描写が悪目立ち・・・なぜか?
最初に申し上げますが、新海監督作品のファンです。
過去の作品においては「星を追う子ども」以外(笑)は、一定以上のちょっと贔屓目な評価をしてきました。
ほとんどの作品は無論DVDを購入して、たまに鑑賞しては悦に入っている奇妙なオヤジです(笑)。
マイナーで知る人ぞ知る繊細で美麗な映像作品を作り続けてきた監督が、前作でアニメファンや映画ファン以外にも認知され完全にメジャーになったことをちょっと寂しく思いつつもとても歓迎しておりました。
今作「天気の子」も期待に胸を膨らませ(笑)、公開初日で鑑賞いたしましたが、実際「ありゃ?」って感じで拍子抜けしています。
残念ながら、正直いまいち心が動かなかったからです。相変わらずの至高の映像美に終始、陶酔していたにもかかわらず。
その理由のひとつとして挙げられるのが過剰演出ともいえる暴力描写です。
私は基本的に暴力描写自体が嫌いってわけじゃなくて、シナリオや演出上適切に使われるのであれば、大袈裟に言えば殺戮の限りをつくしたってokという人間です。エンタメ作品のフィクションに倫理観を持ち込む様なヤボではありません。
しかし主人公が唐突に拳銃を拾い、違法風俗業に携わるチンピラ店員がグーで高校生を殴り、それに向けて威嚇じゃなくて実際発砲し・・・確かに目を引きましたが、それらの一連のディテールが甘くて「表現上、監督の手の内に入ってない」から、逆に悪目立ちしちゃって違和感しか残りませんでしたよ。
過剰演出の為に、禁断のアイテム(暴力)に手を出した感が否めません。
案の定、拳銃は警察権力からの逃走劇のキーアイテムとして使われ、「陽菜に会いたい」という強い思いを表現するに至ったんですが、「ああ、自分の立場を捨ててまで会いたいんか!」という前向きな共感ができませんでした。
むしろラストシーンで主人公が拳銃を警察に向けながらブルブルするのをみて「当たった後の2作目は失敗できないよ〜」という誰かさんの心の叫びが聞こえてきたのは、私の空耳だったのでしょうか・・・。
昔からのファンなのに嫌味なレビューになってしまった。他のファンの方、ごめんなさい。
次回作に期待します。
では。