「君の名はであった緻密さが失われた作品」天気の子 ひなさんの映画レビュー(感想・評価)
君の名はであった緻密さが失われた作品
2.3/5 (0.5刻みだったので2にしましたが...)
所感としては表題の通りです。
■ 物語
物語の主軸である、「想い人と世界のどちらを取るか」という話は幾度となく扱われてきたテーマであり、私も好きです。
そして、天気という身近な物に落とし込んだのはただ感嘆するのみです。
■ 脚本・構成
各々のキャラクターが思うままに行動していく、ある種、群像劇で描くような内容が各キャラクターの考えが語られないまま帆高視点で進行していきます。
そして最後まで理解できませんでした。それだけに薄っぺらく感じてしまいました。
帆高は若さ故の愚直さで、世界を捨てて愛を選んだのかというとそうではありません。
一緒に逃げようと言った帆高は、あの時点で陽菜が人柱であることを知らない以上、あくまでも自分が帰りたくないという我儘であり、そこに愛なんてものは存在しません。
だからこそ、陽菜が年下だったと知った時の反応になるんだと思っています。
ガムシャラに愛を勝ち取った話ではなく、自分の我儘を後悔し、失った愛を取り戻そうとする話です。
しかしながら後悔の描写もあまり描かれないので、余計に理解に苦しみました。
そして、実のところ他のキャラクターの行動原理も遂に理解できませんでした。特に夏美です。
事故すれすれの運転で逃走劇を繰り広げるほどに、何か思うところがあったのでしょうか。
陽菜もなんで急に自分が犠牲になる選択をしたのでしょうか。凪を置いて。
■ 音楽
楽曲自体は恐らくよかったのだと思います。
ただ、劇伴を含めただ置いているだけに感じました。無音シーンを含めて抑揚や緩急をつけるのに寄与するはずのものが、特に前半は台詞などにお構いなく早めのテンポでただただ描かれているように感じました。