ファースト・コンタクトのレビュー・感想・評価
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未体験ゾーンの映画たち2019の作品群の中の一作。
いわゆる『モキュメンタリー』方式でストーリーが進むのだがジャンルがSFというところが斬新であるし、親和性も高いと感じた。インタビュー形式で筋を進めるので状況は分りやすいがドラマ性は希釈されてしまう。その辺りのバランスの危うさが今作品の課題でもあると感じだ。例えば唐突に展開が変わることも(最初は謎の発光体なのに、急に人間を脳だけ移植させる倫理観無視の話になり、そして結局宇宙人は地球を救うことを選び、それだけではなくもう1個地球をプレゼントする)等、ご都合主義的な流れを一々上げていたらキリがないのは自分もそう思う。特に車椅子の社員が脳移植後にあっけなく死んでしまう件も、この手法ならではの切り口であり、本来ここにドラマ性を漂わせるところも、敢えてクールに演出する。そんな中での本作の主題とも言える、『人間の攻撃性』へのテーゼを皮肉的に主張している点も、あくまで冷静に淡々と語る手法として興味深く感じた。
とにかく、ツッコミどころは満載で、そもそものプロットと手法との組み合わせが斬新なのが非常に際立った作品である。実験性もあるのだろうがこういうチャレンジングさは高く評価したい。多分、映画としての評価は残念と言わざるを得ないかも知れないが、しかし切り口としての面白さ、日本的な観念に近い思考も充分読み取れた興味深い作品である。
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