マリオネット 私が殺された日のレビュー・感想・評価
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被害者の人生とは…
実際の事件を元にした映画です。元になった事件は韓国社会の女性蔑視が根底にあると日本では解説されているようです。
性暴力の被害女性。SNSで被害動画が拡散したことにで社会から好奇の目で見られ、誰も知らないところに身を隠さざるを得ない状況に陥ります。
確かに韓国社会は日本よりも激しい女性蔑視があるのかもしれません。
性暴力の被害女性は本人にも落ち度もあると責められ、加害者の身内に権力者がいれば処罰が尚更ウヤムヤになる状況もあるのかもしれません。
けれど、それは日本でもあまり変わらない気がします。
性暴力の被害者だけではなく、自己責任という言葉が声高に叫ばれる今日。
「罪の無い者だけが最初に石を投げよ」
キリスト教徒でもない私の胸裏にそんな言葉が過った作品でした。
ソウルメイトに感動しキム・ダミの出演作を探して観ましたが、口の中に苦いものが残るような後味の悪さを感じました。
主人公の再生物語
エグい良作
まず本作の主人公はオ・グクチョル元刑事です。
頼りないですが、ここに着目するといろいろと見えてくる景色が違ってきます。
彼は作中最も人間臭い人物ですね。
完璧なる善人ではなく、私欲を優先する側面もある。見方によってはこの人もわりとクズですが、一番マシな部類です。
最後の犯人については、一瞬アンフェアにも感じましたが、思い返せばヒントは見事に散りばめられており、なるほどなぁと。
これはひとつ、観客の推理力が試されます。
本作はバッドエンドだ、という意見も散見されますが、そうは思いませんでした。
これはひとりの女性が、破壊された人生を再生させる物語であり、ひとりの男が人生の区切りをつける物語でもあります。
ラストシーンまで見て、それを死と取るか再生と取るかは観客に委ねられる、といったところでしょうか?
タコ殴り不可避
惨い過去を捨ててなんとか幸せもつかみ生きていたソリン(ミナ)のもとに届く絶望的なメッセージ。
暴走した欲望の恐ろしさと醜さが浮き彫りになるサスペンスタッチの作品。
過去と現在を交差させた前半のつくりが好き。
幸せで楽しい日々が一瞬にして崩れる様子が苦しい。
特に高校生時代のミナがとてもチャーミングで可愛かったので余計に辛かった。
生々しい描写はあまりなく、ライトに観られるのが救いか。いや打ちのめされる直接描写が多いのも好きだけど。
ズンドコした元刑事おじさんが出てきてからだんだん作品が緩くなってしまっていた。
ひたすらに暗いこの物語にコミカルな要素を加える目的かもしれないけど、変に茶化していいものでも無いし…。
まあまあ有能ではあるけど、彼の犯した過去の業にドン引きした。
人生返して。私なら一生許せない。
普段から持っている先入観を裏切る展開が面白い。
しかし結末含めだいたい予想通りにしか進まないことにがっかりした。
見せ方があからさますぎて逆に大まかなことが読めてしまい、いやでもまさかそんなことは無いだろう、と一応物語の表面部分を信じてみても結局思った通り…という残念感。
先が読めたことの嬉しみも特にないので無感動に終わってしまった。
実話ベースだからか、現実味のある中途半端な後味の悪さがある。
重く暗く振り切るわけでもエンタメやホラー風に振り切るわけでもないのでモヤモヤとダルさが残って堪らなかった。
とりあえずマスターと関係者と元刑事を全員タコ殴りにしたい。
これでよかったなんて全然思わない。タコ殴りにタコ殴りを重ねてネット配信してやろうかくらいの気持ちである。しないけど。
この手の犯罪を知ると、性欲なんて無くなればいい!なんて安易に思うこともあるけどそれはまた全然違うし。
とにかく暴走した欲望を正当化する人間は嫌だし気持ち悪いな。
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