ザ・カニバル・クラブのレビュー・感想・評価
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解体ショー
世界の食肉消費量のベスト5に入るブラジルならではの貧富の差とそれに伴う階層社会ならではの荒廃した人間の心象を、漫画チックに表面だけ焼いてみました的作品。
実際、本国ではどれだけ今作品がいわゆるジャンル映画として需要があったのかは分らないが、現代上映されている映画よりもかなり後進的作りなのは否めない。しかし複雑な構成が好きではない人からすればかなりすんなり頭に入る作品なのではないだろうか。
右翼的秘密結社の一員である起業家のセレブ夫婦は、その秘密結社の裏の顔である、食人愛好だけでは飽きたらず、自らも自身の使用人を食べているという設定から、しかしマッチョな立場である結社の長が実は男色家だった秘密を知ったせいでその長から命を狙われる流れになる。しかし、その長を返り討ちにし、その罪を新しく雇用した使用人に着せて、食べしまおうという作戦が、しかし使用人の機転で逆に夫婦が殺されるというシンプルなプロットだ。
どぎついスプラッターや人体解体、そして濡れ場などそれなりにジャンル映画としての体はあるのだが、如何せん演出と演技に首を傾げざるを得ない。撮影も引きが多く、なんだか単調。そしてBGMもまるで昭和時代のイメージだし、サスペンスフルには程遠い。
それよりも何よりも登場する肉料理が明らかに牛肉で、シェラスコなんて唯々美味しそうなシズル感たっぷりの映像である。これを人肉と捉えるには余りにもイマジネーション不足である。
現代ブラジルの今の社会情勢を反映して、そのメタファーとしてのカリバニズムを表現しようとしているのだろうが、中途半端さがスクリーンいっぱいに溢れていて大変厳しいと感じた。まぁ、ブラジルならではの軽いノリといってしまえばそれまでなのだが・・・
濡れ場のボカシの範囲の大きさも相俟って、“サムい”作品であった。
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