「アルツハイマーはまず嗅覚異常から始まる」ばあばは、だいじょうぶ kossykossyさんの映画レビュー(感想・評価)
アルツハイマーはまず嗅覚異常から始まる
冒頭はばあば(冨士真奈美)の喜寿の祝いのシーンから、親戚が集まって楽し気に団らんするのだが、いきなりの人間関係を全く把握できないでいた。もしや、これは観客に記憶力テストしてるのではあるまいな?と、挑戦的なオープニングに戸惑ってしまった。とにかく「犬、さくら、電車」とかのレベルとは違う・・・。独身の女性が二人いたけど、それが誰だったかもうわからない。
昔、尊敬する耳鼻科の医者に「アルツハイマー病はまず嗅覚異常からはじまる」と教えられ、いまではネットで調べてもかなりヒットしてきます。その話を聞いたときと、自分の母親の発病がほぼ同時期だったために、絶対に本当だと確信を持ちました。途中まではストーリーもだらだらと進むので興味を削がれてたのですが、「おならの臭いがわからない」事実に直面し、自分の経験をも思い出してしまいました。
色んなことを忘れてしまう症状以外にも、ばあばはやがて「家のなかに泥棒がいる」と言い出したり、怒りっぽくなったり、落ち葉を拾ってきてお茶を淹れようとしたり。人によって色んな症状があるものですが、やっぱり似てますよね。そして進行してしまうと“徘徊”が待っています。中前家の玄関のドアには鍵がいくつもありましたけど、それがいつ付けられたものなのかよくわかりませんでした。それでも、縁側から抜け出したばあばはついに徘徊して、警察をも頼ることになってしまいました。
ただ、納得いかなかったのは娘二人が同居する兄に「施設に入れることは絶対に考えないでね」などと語気を荒げてましたが、病状が進むとそんなことを言ってる余裕はありません。この映画ではまだ綺麗に描かれてましたが、失禁したり、うんこまみれにしたり、ものを壊したりと、自宅介護だけでは到底無理な症状もあるので、その娘の訴えだけは取り消してもらいたかった。ばあば役の冨士真奈美も良かったし、平泉成も良かったけど、全体的に再現ドラマっぽいところが評価できない・・・。
なぜだかアルツハイマー型認知症は増えています。これも現役時代に働きすぎて、退職した途端に罹ることが多いことがあるのでしょう。教師、公務員、医者もよく認知症になったりする。頭を使う職業の方が多いようです。引退後は人と喋るようにしたり、趣味を持ち続けることが大切ですよね。