「良くも悪くもいつものアメリカエンタメ映画」ソニック・ザ・ムービー alalaさんの映画レビュー(感想・評価)
良くも悪くもいつものアメリカエンタメ映画
キャラものだし、子供向けかなぁ。ヒーローものを子供向けにしてみましたという感じで、良くも悪くもアメリカン。
無意味に敵キャラ(白人)に一言カタコトの日本語喋らせてみたりして、日本リスペクトの皮を被ってるけど「日本のゲーム原案だから日本っぽさ出しとこ」程度の演出が何となく鼻に付くタイプの作品でした。多分本気でリスペクトはしてないよ(決め付け)。
あと、敵キャラが実写化してはいけなかったのではと思わせるくらい異常にサムい。割と頻繁に「あのさ、ああいうのは2次元キャラだから許されるんだよ。リアルヒューマンがやったらただただ寒いだけなんだよ…」と都度諭したくなる。
喋るたびに滑り倒すうえに、その寒い空気を逆に笑いに変えることもできていない、ただひたすら苦笑いしてしまうような超絶サムいキャラになっています。これ演じてるのジム・キャリーなんだよな…何か悲しくなってしまった。演技が悪かったんじゃなく間の取り方とか、他の演者との兼ね合いでこうなってしまったんだと思いたい。
そもそもソニックも特別可愛げのあるキャラじゃないし、人間主人公も機転は利くけどあえてのフツーキャラ。どこにもパッとする見所がない。
ストーリーはよくある「頭はそこそこ回るけど冴えない男と優秀だけど馬鹿な男がタッグを組んで云々」系なんだけど、敵キャラのウザさ寒さが「いつもの」を下回らせた感じ。
とにかく「いつもの」をそこかしこに突っ込んで体裁整えてラストは何か感動っぽくしてハッピーエンド!という雑な味付けのやつ。
まあソニックが宇宙からやってきたという設定なので、人間界にはありえない見た目だからずっと孤独でいるとか、そんなソニックのバケツリスト(やりたいことリスト)を叶えてあげようとするってストーリーの骨は良かったんですよ。骨は。でも…味付けがこれでもかというほど雑。手を突っ込んで鷲掴みにした塩を上から投げ込んだくらいの雑さ。
画面の向こうのキャラが現実に出てきてしまって…って設定はもう別に珍しくないし(ディズニーの『魔法にかけられて』が2007年、ゲームキャラが現実世界に出てくる『ピクセル』が2015年)、今更そんなの売りにはならないだろうし、画質がやたら良いとか、最近で言ったら『ザ・スーパーマリオブラザーズ・ムービー』みたいに長年のファンでも納得するようなシーンがそこかしこにあるとかでもなく、ただただソニックという人気キャラを使って客寄せをしただけのような雰囲気を感じました。
続編ありきの作りだから1作目ではあまり馴染みのキャラも出てこないし、仕方ないといえば仕方ないんですが、ゲームのファンからしたらあまり見て興奮するような要素はない気がしました(自分はソニックファンじゃないので何とも言えませんが)。
見終わってすぐに、というか見た端から記憶が薄れ始めたくらいつまらなかったので、続編は見ないと思います。続編からが本領発揮のつもりだったんだろうけど…
ちなみに続編の『ソニック・ザ・ムービー/ソニック VS ナックルズ』は2022年に公開しており、同じくらいの人気・評判のよう。うーん…こっちの方がキャラ増えてるし、今作よりは面白いのかなあ…
何も考えずスカッとしたい人にお勧めと言いたいけど、別にスカッともしないし。誰に勧めて良いのかがイマイチわからない。ファンの方なら、一度は見てみても良いと思います。というか、評判は全然悪いわけではないので、ここはもう好みの問題かも。