「最終回だから高評価にしたけれど。」ヒックとドラゴン 聖地への冒険 S Yさんの映画レビュー(感想・評価)
最終回だから高評価にしたけれど。
私は、1も2も大好きでサントラも毎度すぐ買っている
ヒクドラの大大大大大大大ファンです。
その立場からこの作品のレビューをします。
最終話ということで、私の期待がとても高かったのが悪いんでしょう。
正直、3が一番イマイチの出来だな、と思ってしまいました。
1は、トゥースの愛らしさを犬的な要素で徐々に引き出しつつ
飛躍するシーンはこれまでの空飛ぶ系の映画史上、最高の高揚感と
すばらしい映像で魅せてくれる映画でした。
2は、1ではオーディンやらなんやらと
バーク島の民族感をかなりアバウトに描いていたのに対し
音楽によって民族性をかなり表現したように思います。
新しい種類のドラゴンもどれも魅力的で、ヒック自身の成長と
トゥースの強さを全面に出す物語の流れでした。
1をうまく引き継ぎつつも時間の経過を自然に視聴者に納得させつつ
新しい物語展開ができていました。私は2が一番好きです。
だからこそ、日本のDWが日本で広報活動をせず
映画館上映しなかったことを恨まずにはいられません…
3は、アナ雪の2のように、作らなければならないから作った、
という感じがとても悲しく思いました。
「別々の世界で暮らす」というエンディングのために
無理やりストーリーが練り上げられたように思います。
他にも、
・追加キャラの説明が浅すぎる
・前作からの展開が無理やり
が気になりました。
例えば、孤軍奮闘していた前作のドラゴ・ブラットフィストに、
人間の仲間がいるとは到底思えませんでしたが、
本作それらしい人たちが出てきます。
ところが、そういった人たちについての描写は大変少なく
悪役グリンメルや彼が服従させているドラゴンについても
イマイチ説明が弱いので、見入ることができません。
2のドラゴについては、ドラゴンによって村も腕も失い
ドラゴンへの憎しみがドラゴンを服従させる強い思いになったこと、
孤独さや力に取りつかれたことから、人もドラゴンも
力でねじ伏せようとしたというのはわかります。
プライドが高いから、自分よりドラゴンをうまく使役する
ヒックにライバル心を抱き、つぶそうとするのも分かります。
本作のグリンメルの信念の内容はわかります。
相容れないから今までの争いの歴史がある、
信用はできない、というのもわかります。
でもなぜトゥースにこだわるのでしょう?
ナイトフューリーをなぜ殺したいのか?
ドラゴンを捕まえますが、
殺さず捕獲する理由はあるんでしょうか?
トゥースが最後、なぜドラゴンの世界の入り口に
家族でいたのかもわかりません。
奥さんと子どもたちは地下世界にいればいいのに。
分からないことが大変多いのです。
ストーリーとして、ヒックの最後の選択に
重きを置きたいのであれば
ヒックが結婚し、統率するようになった
新しいバーク島の様子を描写してほしかった。
じゃないと、ヒックの選択が正しかったのか
見ている側は納得しきれないんです。
ドラゴンの世界も、平和なんでしょうか?
トゥースはきちんとリーダーをできている?
そういう、ハッピーエンドだったよ、という描写も
丁寧に描いてほしかった。本当に。
3作までみて、この映画はキャラクターデザインが
とっても秀でていたんだなと思います。
ドラゴンもどのキャラクターも、とっても素晴らしいんです。
あとは時間経過による描写の変化がとてもうまいです。
主人公は勿論、その周りの個性あふれるキャラの
成長っぷりが自然ではあるものの、確実に大きく変わっているのです。
(ばば様はなぜか1の時が一番よぼよぼですが。)
そして音楽が、本当に素晴らしい。
ジョンさんは、DWの音楽の多くを手掛けていますが
ヒクドラほどジョンさんに助けられた映画はないでしょう。
音楽と映画はセットだと思っているので、
近年の映画音楽の中でもトップクラスの出来の本作品郡は
音楽によって助けられている部分が大きかったと思います。
ヒクドラにここ数年情熱をささげていたため
正直、あまり楽しみ切れなくてすごく残念でした。
それでもこの評価をつけるのは、
上記のキャラデザインと音楽がずば抜けて
近年のアニメ映画の中で素晴らしいからです。
本作の日本語キャッチコピーに、会えばきっと好きになる
というコメントを付けてくださいました。
これは、この作品ではなく1にぜひつけてほしかった。
この映画を見たことない人は、映画館で3をみなくてもいいですが
家で、レンタルして1と2を見てほしいです。
絶対楽しめます。会えばきっと好きになります。
ドラゴンの映画なので、男の子向きと思われがちですが
女の子も絶対に大好きになれる映画です。
ぜひぜひぜひぜひ、ご鑑賞ください。